「老いらくの恋と言われようと、いくつになっても女性からの愛を感じる男性は、EDになりにくいんです」
 こう語るのは、性感研究の第一人者で医学博士の志賀貢氏だ。

 皆さんは今、異性に愛されているだろうか。
 「結婚しているから」という理由で恋愛から遠ざかっている方も、妻からの愛を感じているだろうか。
 「妻は俺にベタ惚れ、と感じている方なら問題はありません。しかし、妻からは疎まれて、自分も恋愛感情なし。かといって、他の女性と浮気をしているわけでもない。こういう期間が長くなると、勃起機能は低下するんです」

 片思いでもいけないという。
 「人は一方的に異性を好きになることで、脳から脳内物質のドーパミンが分泌されます。そして、ドーパミンの分泌は男性ホルモンの分泌を活性化して、性欲を高める効果もあります。しかし、その一方で片思いには別の問題が生じやすい」

 相手の女性がこちらを振り向いてくれないジレンマは当然、ストレスになる。
 「ストレスは男性ホルモンの分泌を妨げる要因となります。長い期間、片思いを続けていることもまた勃起機能にはよくないのです」
 性欲は高まっているのに、勃起力は衰えるばかり…これではやはりやり切れない。

 では、両思いとなれば、どんな効果があるのか。
 「人を愛すこと、そして愛されることで、人間の脳から、オキシトシンと呼ばれる脳内物質が分泌されます。これは別名、癒やしのホルモン。分泌されることによって脳の疲れやストレスなどを解消してくれるのです」

 つまり、気持ちが安定するのだ。以前にもこのコーナーで説明したが、勃起は副交感神経が優位な時に起こる現象だ。
 「いわばリラックスしている時が最も勃起するのです。日々、誰かに愛されていることを実感していれば、普段から気持ちも落ち着く。多少のストレスはあっても、すぐに薄らぐのです」

 さらに両思いの関係となれば、日頃からセックスをする機会も増える。
 「自分が本気で愛する女性との性行為は、一番興奮しますよね。当然、勃起力も一段と高まります。これが男としての自信に繋がり、相乗効果を生み出すのです」

 それだけではない。セックスパートナーがいれば、EDの兆候が出たときも対処が早いという。
 「来週もまた女性に会う約束をしていれば、のんきにEDで悩んでいられない。少しでも不安があれば、すぐにバイアグラなどのED治療薬を服用するので、悪化しにくいんです」

 もちろん、いますぐ勃起せねばならない状況でなければ、じっくりと食生活の改善やトレーニングなどを積んで、勃起力を根っこから強化したほうがいい。しかし、それもせずに悶々とEDの日々をすごすと、本当に勃起しなくなるという。
 「そう考えると、相手が妻であれ、彼女であれ、男性は“女性に愛されている”ことが大事。女性から愛されるための努力をすることが、ED解決への一番の近道なのかもしれません」

 勃起力を取り戻してから恋愛をするのではなく、恋愛をしながら勃起力を高めるのだ。

志賀貢
医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたセックス&口説き術にまつわる著書も多数ある。