今年4月に中国資本となって以降、ミランの経営を任されているファッソーネGD(右)とミラベッリSD(左)。最近は目先に捉われた言動が少なくない。(C)Getty Images

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 ミランが小さな迷走を始めている。
 
 事の発端は、0-2の完敗を喫した9月24日のセリエA6節サンプドリア戦の直後、実質的な経営責任者のマルコ・ファッソーネCEO兼GDが、TVカメラの前に進んで姿を見せると、厳しい口調でチームと指揮官を批判したことだった。
 
「相手が強いから負けたとは思っていない。確かにジャンパオロ監督は我々を混乱に陥れた。その手腕は賞賛しなければならない。しかし、クラブの売上高も選手の年俸もミランの1/3しかないサンプドリアが、ミランよりも強いとは思わない。我々の試合へのアプローチが間違っていた。私がここに出てきたのも、こうした敗戦が当たり前になることは許されないからだ。自分たちよりも弱い相手に敗れることがあってはならない。6試合で2敗は予想よりも多い。我々は若いチームだが、ミランであることに変わりはない。弁解の余地はない」
 
 翌日、週明けの月曜日には、ファッソーネGDと強化責任者のマッシミリアーノ・ミラベッリSDがミラネッロを訪れ、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督とチームを前夜と同じような口調で厳しく叱責。それをめぐって指揮官とミラベッリSDの間で非常に激しい口論があったことが外部に漏れ伝わってマスコミに取り上げられるなど、クラブ内部の空気が通常のレベルを超えて緊張していることが露わになった。
 
 そして続く26日火曜日、モンテッラ監督が自身のツイッターを通じて、フィオレンティーナ時代から片腕としてフィジカルコーチを務めてきたエマヌエレ・マッラを自らの判断によって解任したことを発表する。シーズン中に、監督が信頼するテクニカルスタッフを自ら遠ざけるというのは、通常は起こりえないことだ。チーム内に何らかの軋轢が生じていると推測させるに十分な事態だと言えるだろう。
 
 こうした動きを受ける形で、一部のマスコミは、ファッソーネGDとミラベッリSDの両首脳が、モンテッラ監督の後任候補としてマルチェロ・リッピ(中国代表監督)、そしてバイエルンを解任されたばかりのカルロ・アンチェロッティに接触しただけでなく、昨シーズンまでワトフォードを率いたワルテル・マッザーリ、元フィオレンティーナ指揮官のパウロ・ソウザもリストアップしているという情報を報じる。
 
 その間にもミランは、ミッドウィークのヨーロッパリーグのリエカ戦で、2点をリードしながら一度は追いつかれ、最後に何とか突き放して3-2で辛勝するという不安定な戦いぶりを見せ、週末のセリエA7節のローマ戦では「内容的には今シーズン一番の試合」と指揮官が自画自賛するも、スコアは0-2で前節に続く2連敗を喫した。
 7節を終えて国際Aマッチウィークによる1週間の小休止に入った時点におけるミランのセリエA成績は、4勝0分け3敗(10得点・10失点)で勝点12の7位。昨シーズンの同じタイミングでは4勝1分け2敗(12得点・10失点)で勝点13の5位だったので、わずかながら後退していることになる。
 
 イタリアのマスコミでは、ミランが今シーズンに向けて2億ユーロ(約256億円)近い大枚を投じた大型補強によって戦力を大幅に強化したことに焦点を合わせ、補強に見合った結果が出ていない理由をモンテッラ監督の手腕や、レオナルド・ボヌッチなど主な新戦力のパフォーマンスに見出そうとする論調が強い。
 
 だが、筆者はこの見方にはあまり賛同できない。最大の問題はむしろ、ここまで見てきたようなクラブ内部の緊張、プレッシャー、軋轢にあるように思われるからだ。そして、それを作り出し増幅させているのはチーム(監督、選手)ではなくクラブ(GD、SD)の側である。