言語研究サイト「Ethnologue」によると、世界には実に7千以上もの言語が存在するそう。想像をはるかに上回る数字だけれど、英語のように話者人口が増加している言語がある一方、絶滅の危機に瀕しているコトバが約1,000ほどもあるという。

ブラジル北部で話されている「トゥピ語」も、そんな“絶滅危惧言語”のひとつ。

トゥピ語を含めブラジルには約170ほどの先住民族のコトバが現存しているものの、そのうちの30%は15年以内になくなってしまうと予見する識者も。そんな憂うべき状況にユニークなアプローチで警鐘を鳴らしているのが、「Arandu Arakuaa(アランドゥ・アラクァア)」なる5人組だ。

麗しい女性シンガーが
デス声でシャウト!

Arandu Arakuaaはブラジルの首都・ブラジリアを拠点に活動する5人組フォークメタルバンド。

太古の原風景を感じさせる雄大なフォークサウンドと、その正反対といえる、大地を揺らすようなヘヴィで激しいメタルサウンドを融合させた独自の音楽性で局地的な注目を集めている。

とりわけユニークなのは、そこにメンバーの出自に由来する、民族的かつ土着的なエッセンスが色濃く落とし込まれていること。って、能書きはこのくらいにして、ともかく実際にその音楽を聴いてみてほしい。

端正な美貌からは想像できない、血管がブチ切れそうなデスボイスが強烈!続けて、もう一曲。

彼らがトゥピ語で歌う理由

奇抜なメイク、ダブルネックのギター、野太い6弦ベースという編成からしてタダ者ではないが、彼らが歌っているコトバこそ、前述した絶滅危惧言語・トゥピ語なのだ。彼らがなぜそんな稀少言語で歌うのか、そこには明確な理由と意図があった。

ギタリストでバンドの中心メンバー・Aquinoさんは、トゥピ語を話す民族の子孫であり、「自分のバックグランドを音楽に落とし込むことは、とても自然なことだった」とNarrativelyのインタビューで答えている。

続けて、「最初はただ楽しむためにバンドを始めたけれど、僕らがずっと意図してきたことは、音楽を超えて様々な議論を巻き起こすこと」とも。

多くの偏見にもさらされている少数民族の小さな声をラウドにかき鳴らす彼らの存在は徐々に注目を集め、様々なイベントに招聘されたり、大学の講義で言語や文化を守っていくことの重要性をレクチャーすることもあるそうだ。

文化的損失を食い止めるために

ひとつの言語がなくなるということは、ひとつの文化の消滅を意味すると言っても過言ではないだろう。

そんな文化的損失を食い止めるためにも、Arandu Arakuaaは非常に貴重な存在。世界中でヘヴィなサウンドと共に警鐘を鳴らしていってほしいと思う。まだ来日も果たしていないようなので、「LOUD PARK」や「EXTREME THE DOJO」といったメタルイベントに、ぜひ!

Reference:Ethnologue,Narratively,Arandu Arakuaa