勧誘をどのように断ればよいですか(写真:xiangtao / PIXTA)

今回は、生命保険の営業担当者や代理店をいかに遠ざけたらいいのか、というテーマを取り上げます。筆者は有料で保険相談を受け付けていますが、その中で多い相談のひとつが「勧誘をどのように断ればよいですか」というもの。営業担当者も「人」。そのため、対人摩擦のようなものに弱い人たちは、押し込まれてしまうようです。

具体的なお悩みは「相手の言うがままに本意ではない契約を結んでしまった」「解約などを考えているのだが、きっぱり決断できないままストレスを抱えている」といったもの。以下、押し込まれやすい方を対象に、セールスの段階に応じて「断るためのポイント」を押さえていきます。

チラシ配布やアンケートは「無視」が一番


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まずは、具体的な提案などを受ける前段階でのセールスの断り方を考えてみましょう。

たとえば、職場があるビルのロビーやエレベータ―ホールで、営業担当者がチラシを配布したり、アンケート調査などを行っている場合。このケースでは、目を合わせないことが一番です。

仮に声を掛けられても、相手を見ないまま会釈だけして移動します。配布物は軽く片手で制するような仕草をして受け取らないようにしたほうがよいでしょう。

チラシやパンフレットを受け取ると「XX生命が新しく発売した保険です。ご存じですか?」といった会話のきっかけをつくる質問が待っています。アンケートも関心事を知ることが目的なので、無視します。 

筆者の約15年に及んだ営業経験から、無言の人だけは営業のしようがなかったことも付記しておきます。

一方、話をしてくれれば営業担当者は先に進むことができます。「保険会社の給料は高いと聞いている。客が損する保険を売って儲けているに違いない」とでも言ってもらえるほうが、「営業は歩合制なので悲惨な人もいるんですよ」などと即答して会話を続けやすいのです。

とはいえ、友人や知人が営業の仕事を始めてアポイントを取ってきた場合は無視できない、職場の先輩や同僚の紹介で連絡をしてきた営業マンへの対応も難しい、と言う人もいます。

この場合にも正しい断り方があります。まさに、その点を強調したらいいのです。保険の話を聞く前の段階で、縁もゆかりもない営業の人に対するのとは、明らかに違う心の動きが自分の中で生じてしまっていることを問題視するのです。

「おカネがかかわることだから、冷静な判断を下したい。にもかかわらず、友人・知人が相手だととても難しく感じる。先が思いやられるので、人間関係がない相手と対峙したい。あなたに含むところは何もない」と伝えたらいいでしょう。

そもそも、アポイントなどを断るのが苦手な人は、「断ることは相手のためになる」と理解しておくとよいと思います。友人などの伝手(つて)をたどる営業手法は、早晩行き詰まることになりやすいからです。

どのみち、面談の場に同席してもらうことが難しい、見ず知らずの人たちから契約を獲得し、紹介などがもらえるようにならなければ、営業担当者に未来はないだろう、と想像してみてほしいのです。

何度かやり取りをした後に断るには?

次に提案書などを提示されるような段階まで進んでいる場合を考えてみましょう。この場合に気をつけたいのは、相手に「借り」を作っているような感覚を持ってしまうこと。実際、「営業の人に何度も足を運ばれると、契約しないままでは悪いような気になってしまう」と言う人がいます。

商品関連にとどまらず、公的制度や税金などに関するさまざまな情報提供を受けるうちに「いろいろと世話になっている」と感じ、成約に至るケースもあるようです。保険の利用価値を正しく評価し、契約の是非を判断すべきところが、いつの間にか、相手との関係が気まずくならないことが重視されるのです。

対処法は難しくありません。借りを作らないことにするのです。筆者が大手生命保険で保険セールスを行っていた当時、感心した会社員の方の例を書いておきます。外資系保険会社に転職した元同僚が、職場に営業目的で訪問してきた際、「今日の交通費と情報提供に対するお礼だから」と地下鉄などで使えるプリペイドカードを渡していたのです。

たとえば、営業担当者と喫茶店で会う場合、「少ないが相談料のつもりだ」と言って、2人分の料金を払い、謝礼も渡すなど、いろいろな応用の仕方があると思います。手土産持参で自宅や職場を訪問してきた人には、次に会う機会にお礼の品を返してもいいでしょう。

営業担当者との人間関係から「付き合いで(保険に)加入している」という人もいますが、筆者は、長期の保険契約にかかる金額の大きさを考えると、付き合いの延長で考えるのは禁物だと思います。

「付き合い契約」は避けるべき

付き合いで加入した契約について「仕方がない」と語る人はいても、「納得している」「満足している」と言う人とは会ったことがないからです。苦い思いを抱えたままの人が多いのではないかと推察されます。そうであれば、お互いのためにも「付き合い契約」は避けたほうがいいはずです。

最後に、契約後、解約などを考えている場合です。解約は契約者の権利ですから、本来、誰に気兼ねすることもありません。他社商品との比較や、自己資金との関係などから経済合理性を考え、継続の必要なしと判断したら、解約して構わないのです。

ところが「営業の人が訪問してきて、思いとどまるように説得されると困る」など、やはり人と向き合うことに、ある種のプレッシャーを感じる人がいるのです。その場合、コールセンターに電話して郵送でのやり取りを希望したらいいでしょう。

「お客さまサービス窓口に出向いてほしい」などと言われたら「時間と労力を考えてもらいたい。契約時には、職場にも自宅にも担当者が来たのに、おかしいではないか?」と返しましょう。

また「担当者がお客様と会って手続きをする決まりがある」といった設明にも「海外駐在の人とはどうしているのですか?」などと反論してみましょう。「約款や重要事項説明書に明記されているのでしょうか?」と尋ねる手もあります。

会社の都合で、解約防止のために即応しないことになっている可能性も考えられますから、「契約者の身になって対応してもらいたい。お互い、時間を大事にしましょう」と言ってみていいのです。

解約の切り出し方は「今までありがとうございました」

「付き合い」で加入している契約について、切り出し方に迷う向きは「今までありがとうございました」と言うといいでしょう。引き止められる前に「もう終わったこと」だと宣言してしまうのです。

現実問題として、解約が契約後1〜2年の間に行われると、営業担当者や代理店は、保険会社からペナルティとして報酬の返還を求められることがあります。

そのため「2年間は頑張って(契約を)続けましょう」などと案内する担当者もいるようです。業務上の自己都合が優先されているのですから、「付き合いに値しない人物」と見限るきっかけにしていいはずです。逆に5〜6年経過している場合は「十分に相手も報われているのだ」と考えたらいいわけです。

「対面セールスに弱い人は、ここまで書かれているような一言を明言できないから苦労しているのだ」と感じる向きもあるかもしれません。

そんな人の場合には、「付き添い」を頼むとよいと思います。商品販売にかかわっていないファイナンシャルプランナーの中には、銀行の窓口などで保険を勧められているお客様に同行し、相対的に手数料が高い商品の購入を未然に防ぐような役割を果たしている人もいます。

もとより、商品の販売実績に応じて保険会社から報酬を受け取る営業担当者や代理店は、顧客と「利益相反」の関係にあります。対面でのセールスに弱い人は、相談や付き添いサービスを有料で提供している専門家の利用を、検討するとよいと思います。保険会社からではなく顧客から報酬を受け取る人を味方につけるイメージです。筆者自身、有料相談を行っているので、割り引いて受け止めていただいて構いませんが、一考に値するのではないでしょうか。