20代前半でポーランドに移住した筆者は、実は日本の結婚式に参列したことがありません。しかし、そんな筆者でもポーランドでの結婚式は自身のものも含めて驚くことばかり。

さて、いったいポーランドと日本の結婚式は何が違うのでしょうか。ポーランドの一般的な結婚式の流れを、準備段階から時系列で見ていきましょう。

 

結婚式半年前:夫婦で結婚講座を受講する

ポーランドは人口の約90%がカトリック教徒です。カトリックでは、教会で結婚式を挙げる前に「結婚講座」を受講することが義務。この講座で良き夫婦のあり方や家族を作るための基本的な知識を学びます。回数は教会によって異なりますが、私の場合は修了まで約2か月かかり、計7回ありました。

 

なぜこのような講座を受けるのかというと、結婚は本人たちだけの問題ではないから。新たに生まれる命の大切さや、幸せな家族の意味を認識し、結婚を機会に教会との関わり方も改めて考えていかなければなりません。ちなみに、カトリックには宗教上「離婚」という概念がなく、それもあって本人たちの意思で結婚することが極めて重要となっています。

 

結婚式3〜4か月前:結婚式への招待状を渡す

日本ではハガキや手紙で招待状を出すのが一般的ですが、ポーランドでは招待者の家に訪問して渡します。招待状は個人でデザインすることが多く、手紙のように封筒付きで渡す場合がほとんど。ただし「ご出席・ご欠席」といった文言はなく、欠席する場合は本人たちに直接伝えます。

 

招待状の内容はとてもシンプルで、いつどこで結婚式を挙げるか、誰と誰が結婚するかといったことのほか、簡単なあいさつが書いてあります。

 

結婚式当日:午後から教会で結婚式を挙げる

ポーランドでは土曜日に結婚式を挙げることが多く、披露宴は日付が変わっても続きます。結婚式を挙げる場所はカトリック教徒であればもちろん教会、披露宴会場は貸し切りのレストランや結婚式用会場を利用します。

 

結婚式そのものは極めて厳粛なもの。2人は神父の前で夫婦の誓いを立て、周りは静かにそれを見守ります。またカトリック教会では、結婚式といえども教会内でキスすることは基本的にありません。日本の真っ白なチャペルで行われるキリスト教式の結婚式と比べると、とても厳かです。

 

プレゼントを渡し、パーティー会場へ移動

教会を出ると、さっきの神聖な雰囲気はどこへやら。参列者は硬貨を投げたり、花びらを巻いたりして、新郎新婦を派手に出迎えます。2人は硬貨をできるだけ早く拾わなければならず、これがいわゆる夫婦最初の共同作業。そして、たくさん拾ったほうが新たな家庭の財布を握ることになるのです。

 

次に、参列者は新郎新婦の前に列を作り、プレゼントや花、ご祝儀などを渡します。プレゼントの品は日本の結婚祝いと似たようなものですが、事前にプレゼントのリクエストを送ることもあります。猫好きな2人ならキャットフードとするのもあり。

 

参列者1人ひとりとのあいさつが終わり、プレゼントをすべて受け取ったらいよいよ披露宴会場へ。多くの場合、教会のすぐ近くではなく、車で移動する距離に会場があります。

 

夕方、長い披露パーティーの始まり

会場に到着した新郎新婦には、ある儀式が待ち受けています。それは「パンと塩による歓迎」と「グラス割り」。

 

日本でも塩は魔除けや厄除けのアイテムとしてよく知られていますが、塩の浄化のイメージはヨーロッパでも同じ。新郎新婦は塩のかかった、しょっぱいパンを一口食べなくてはなりませんが、それにはパンと塩に一生困らないようにという意味が込められています。

 

次にウォッカグラスが登場しますが、実際にウォッカが入っているわけではありません。2人はそれを飲み干した後、グラスを後ろに向かって投げます。割れた破片の数だけ幸せが訪れると言われており、その破片を片付けるのも新郎新婦の仕事。

 

その後は食べきれない程の量の料理が次から次へと出てきます。日本のように感動的なムービーやスピーチがあるわけではなく、ただひたすら踊り、食べて楽しむのがポーランド流。場を盛り上げるために雇われたバンドやDJが催し物を用意してくれるので、新郎新婦や周りの友人が気遣う必要はありません。

そして酔いがピークになったころ、「ポチョング(電車)」というゲームが始まります。ゲームと言っても、単に前の人の両肩に手を添えて会場をグルグルまわるといったもの。ほかにもみんなで楽しめるゲームやダンスを夜遅くまで行います。お開きとなるのは深夜2〜3時。始まる前は長いように思えますが、楽しい時間はあっという間に過ぎ去ります。

 

ポーランドの結婚式の流れはいかがだったでしょうか。日本の結婚式はアイディア勝負といった面がありますが、ポーランドではとにかく踊って楽しんだ者勝ちというイメージ。しかし、どちらの結婚式にしても、結ばれた2人にとって最高の思い出になることに違いはありません。