手をこまねいているだけでは翻弄されるだけ ゼロ金利下での生保の戦略

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 9月28日のSanKeiBizが「日本生命が米国の資産運用会社:TCWに出資する方向で優先交渉に入ったことが分かった」と伝えた。TCWは外債運用に強みを持っている。同社は米国の大手投資ファンド、カーライル・グループが株式の約6割を保有し、今年6月末時点の運用資産残高は日本円で約22兆円の米国中堅の資産運用会社と評価されている存在。報道によると日生は「年内にもTCWの発行済み株式の2-3割程度を取得し、取締役の派遣も検討している」という。

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 この報道に接し、日生のある部長職者の「我が身を鼓舞する」かの様に絞り出すように語った言葉を思い出した。

 前3月期決算の記者会見で日生の三笠裕司常務は「(日銀の)ゼロ金利導入の厳しさが出た1年目だった」とし、今期についても「厳しい1年となろう」とした。その三笠氏の言を口にした瞬間だった。「公にはそう語る以外にないだろう」といささか尖った口調で切り出し、こう語ったのである。

 「超低金利では確かに例えば、貯蓄性の高い商品は売りづらい。だがそこで止まっていたのでは話にならない。超低金利を嫌気してタンス預金として眠っている資金も多いだろう。そういう資金に対してそのままにしておくより、貯蓄性商品に加入することで相続時に指定した受取人に確実に残せることや、生命保険の非課税枠など様々なメリットを発信すべきだ。2015年に相続税の基礎控除額が減額されて以降、貯蓄性商品を生前贈与に活用するニーズが高まっていることも事実なのだから」

 そして話は運用面にも及んだ。

 「超低金利下で収益を確保するためには、分散投資が不可欠だ。海外クレジット(海外社債)やインフラ、不動産等に運用資金を向ける機関投資家(生保も存在感が高い一角)が増えている。多様な運用法を考えなくてはならない。(当社が)海外クレジット投資部を設立(2014年)したのもその一環だ。ただ、運用を多角化することはリスクの高まりも意味する。万全なリスク管理体制の構築が必要だ」

 外債運用に強みを持つTCWへの出資・役員派遣は「リスク管理体制構築」のための一手といえる。