乾は持ち前のドリブル突破やテクニックでアピールしながら、本大会に向けてチームの成長も見据える。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 リーガ・エスパニョーラでプレーする乾貴士は、他の選手とは少し違う視点で、日本代表でポジションを掴もうとしている。
 
「(自分には)点を取ったり、裏へ抜けたりするプレーを求められている」
 持ち味を発揮し、それをハリルホジッチ監督に評価してもらう。アピールの方法としては、それが手っ取り早くもあり、明確でもあることには違いない。だが、乾には続く言葉があった。今回の合宿で4番目の年長者(29歳)らしい狙いだった。
 
「あとは、チームを落ち着かせたり、(自分とは逆の)右FWの特長を生かしたり、サイドバックの良さを生かしたり、そういうのもやっていければいいかなと思う」
 
 自分だけではなく、周りの選手を生かし、チームとして機能させる。鹿島で多くのタイトルを獲得し、シャルケでも貢献した内田篤人(ウニオン・ベルリン)も同じようなことを強く意識しているが、そういう存在が多ければ多いほど、チームは効率的に回る。そして、ワールドカップで勝つために必要なことも、頭の中で具体的に描かれている。
 
「世界で勝つためには監督の言っていること以上のことを出して、チャレンジしていかないといけない。監督の言うこと、プラスアルファの部分。それは若い選手にはなかなかできないことかもしれない。上の立場なのでそれを自分ができればいいと思う」
「(世界が相手になると)ひとつのミスで失点したりする。その辺は全員が集中して試合に入ること。そのミスで負けが決まってしまうことが増える。(対世界に)経験が少ない選手が日本には多いと思う。海外でやっている僕たちがプラスになれるよう、そういう部分を出していければと思う」
 
 普段からリーガで世界的なクラブ、レアル・マドリーやバルセロナなどと対峙し、世界との大きな差も痛感させられてきた。どちらかと言えば、これまで切れ味鋭いドリブルや、足もとの技術で注目されてきた乾が、今は周りを生かすことに目を向け、アジア最終予選オーストラリア戦でも献身的に守備に走り回る姿を見せている。
 
「チームのみんなが誰かを見て、学ぶことも大事になる。一人ひとりがそういうところを、見られるようになっていければいいなと思う」
 
 勝つために、何をすべきか――。サッカー選手として、ひとつの解に近づこうしている乾。その目は、ロシア・ワールドカップメンバー入りではなく、本大会でチームを勝たせられる存在に向いている。