中国のポータルサイトの新浪網に2日、2000年余り前に中国を統一した秦の始皇帝が派遣した徐福が日本の神武天皇になったと紹介する記事が掲載された。情報の確認も記事構成もレベルが低いと言わざるをえないが、中国では有力メディアが同種の記事を発表して、読者の世界観や歴史観に影響を与えることが珍しくない。

記事はまず、前漢時代に書かれた歴史書の史記における記載にある、燕国の荊軻による始皇帝の暗殺未遂を紹介。次に、特に脈絡なく中国で放送されたテレビの時代劇で取り上げられた徐福の話題に転じた。

史記などによれば、始皇帝は不老長寿の仙薬を得るために徐福という男に童男童女3000人を付けて東海にある島に遣わした。そのため日本でも中国でも、徐福は日本にたどり着いたという伝説が発生した。徐福は戻ってこなかったとされる。中国では、徐福や童男童女が日本人の起源になったと信じる人もいる。

新浪網に掲載された記事は、日本で「徐福渡来の地」とされる土地があることから、徐福が日本に上陸したことは確実とした。また、根拠を明らかにせず、徐福と3000人の童男童女の到来により当時の日本人の身長は30センチ伸びたと主張。さらに、外国の歴史学者の研究結果として、徐福は日本の初代天皇である神武天皇になったと紹介した。

記事はさらに、当時の中国の食生活の話題に転じ、鉄鍋がなかったために炒め物は食べられていなかったと紹介し、再び話題を転じて秦の二世皇帝が国を滅ぼしたと指摘して、子どもの教育は大切であると論じた。

中国では、政治的に影響のある報道については当局が規制を行っているので、記事などの主張や内容が一方的になる半面、当局の思惑から乖離した「暴論」が報じられることはあまりない。しかし政治的問題がなければ、メディアが興味本位の論拠に乏しい記事を伝えることが珍しくなく、読者の世界観や歴史観に影響を与えることもある。

上記記事については、2016年にも複数の別のメディアがほぼ同一内容の記事を報じている。中国のネットメディアでは記事の転載が多く、時事性に関係のない話題では古い記事を再掲載する場合も珍しくない。新浪網のような有力サイトが、内容を吟味せずに興味本位の記事を転載することも、「中国人の常識」に影響を与えている。(翻訳・編集/如月隼人)