米アップルとサムスン電子と言えば、スマートフォン市場で熾烈な競争を繰り広げる宿敵同士。2011年に始まった両者の特許係争は、いまだ決着がつかず、2社は今も憎しみ合う関係。その一方で、この2社は、互いに相手を必要とする関係で、良き友人同士でもある。

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iPhone Xのディスプレーはサムスン製

 こうした、話題をニューヨーク・ポストやザ・バージなどの米メディアが、米ウォールストリート・ジャーナルの記事を取り上げて、伝えている。

 アップルはiPhoneの部品供給でサムスンを必要としており、サムスンはそれにより、巨額の利益を得ている、というのがその理由だ。

 例えば、アップルがまもなく発売するiPhoneの10周年記念モデル「iPhone X」には、iPhoneとして初めてOLED(有機EL)ディスプレーを採用するが、そのディスプレーパネルやメモリーチップは、サムスンの電子部品事業が供給する。

(参考・関連記事)「アップルは「iPhone X」で再び急成長できるのか」

巨額をもたらすiPhone X用部品

 香港の市場調査会社、カウンターポイント・テクノロジー・マーケットリサーチが、ウォールストリート・ジャーナルの依頼で行った調査によると、iPhone Xが1台売れるごとに、サムスンの電子部品事業には、110ドルの売り上げがもたらされる。

 もし、予測どおり、iPhone Xが大ヒット商品になれば、サムスンの部品事業は、自社スマートフォンの旗艦モデル「Galaxy S8」の部品供給で得る金額よりも、多くをアップルから得るという。

 iPhone Xは発売後20カ月で1億3000万台が売れると、カウンターポイントのアナリストは見ている。これまでのiPhoneの年間販売台数が2億台であることを考えると、この予測台数は無理のない数値と言えるのだろう。そして、110ドルにこの台数を乗ずると、143億ドル(1兆6158億円)になる。

 一方、カウンターポイントが推計するGalaxy S8の発売後20カ月の販売台数は5000万台。Galaxy S8が1台売れるごとにサムスンの部品事業は202ドルを得ることから、その合計金額は101億ドル(1兆1412億円)になる。

 つまり、サムスンの部品事業は、Galaxy S8による売り上げよりも、40億ドル(4520億円)多く、iPhone Xから得ることになると、カウンターポイントは指摘している。

「敵でもあり友達でもある関係」

  アップルの資料(年次報告書、Form 10-K)によると、2016会計年度における同社の売上高は2156億4000万ドルだった。このうちiPhoneの売上高は1367億ドルで、売上高全体の63%を占める。

 また、ウォールストリート・ジャーナルが引用した香港の証券・投資会社CLSAによると、サムスンの昨年の売上高は1950億ドルだったが、このうち約35%は、電子部品事業がもたらした。

 アップルにとって、主力製品の部品を供給してくれるサムスンは不可欠な存在。また、サムスンも、その部品事業を成長させるためには、アップルからの受注が不可欠。両社は敵でもあり友達でもある関係だと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 カウンターポイントによると、2016年における、サムスン電子部品事業のスマートフォン部品売上高は、サムスンのモバイル部門向けが40%強を占め、アップル向けが約20%だった。しかし、2018年には、アップル向けの比率が拡大し、サムスン向けを上回ると、カウンターポイントは予測している。

筆者:小久保 重信