シティへの短期研修で貴重な経験を積んだ椿(写真左)と棚橋(同右)。アグエロ(同中央)との記念写真も。(C)Manchester City Football Club

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 横浜がマンチェスター・シティ(以下、シティ)のホールディング会社であるシティ・フットボール・グループと資本提携を伴うパートナーシップを締結したのは、2014年5月。以来、両クラブ間では様々な取り組みが進められてきたが、そのうちのひとつが、ユース選手のシティへの短期研修だ。
 
 本プログラムは14年から実施され、4回目を迎えた今年は、ともに17歳の椿直起と棚橋尭士が渡英し、約2週間(期間は8月3日から8月19日)に渡って、シティのU-18チームでトレーニングに励んだ。
 
 両選手とも、シティの世界でもトップクラスの施設に驚きつつ、「ボール回しとか、パススピードが速かった」(椿)、「オンとオフの切り替えがはっきりしていた」(棚橋)と、それぞれ感じる部分があったようだ。
 
 もっとも、ふたりが声を揃えたのは、技術的な面では十分に「通用する、やれる」ということ。ドリブラーの椿は力強く局面を打開し、ストライカーの棚橋は紅白戦でゴールを挙げるなど、持ち味をピッチ上で発揮。シティの各世代を統括するジェイソン・ウィルコックス氏も「技術的には、日本人選手は世界のどこでプレーしても良い印象があります」と評価した。
 
 ただし、それはマイボールにできた時の話で、「最初はなかなかパスが来なくて、難しかった」(椿)という。そこで痛感させられたのが、“要求”の重要性だ。シティの選手たちは、「思わずパスを出してしまうほど強く要求してくる。出さなければ怒る」(椿)ぐらいで、「確実に向こうの状態は良くないけど、それでも要求してくるあたり、日本とは違うなって感じた」(棚橋)。
 
 優れた技術も、ボールが足もとになければ表現できない。プレーで自分を強くアピールするためにも、自己主張の大切さを学べたのは大きい。
 
 たとえ短い期間でも“本場”の雰囲気に触れ、実際にプレーすることで、意識も変わってくる。高校1年から2種登録されている椿は、「来年はトップの試合に関わりたい。トップを意識しながら、ユースで自分の良さを出していければ」と意気込めば、棚橋は「アグエロが好きなんですけど、くさびの落としのパスの質が高くて、動き直しもこまめ。あの人にボールが渡ったら、何か起こりそうな雰囲気があった」と、シティのトップチームの練習を見学し、大きな刺激を受けたようだ。
 
 そんなふたりのパフォーマンスを踏まえ、日本人選手の可能性について、前述のウィルコックス氏は次のように語る。
 
「両選手のプレーぶりは、横浜F・マリノスが素晴らしい育成をしている結果といえるでしょう。彼らはとても礼儀正しく、楽しく指導させてもらいました。
 
 ふたりがアンダー世代の代表に選ばれているのも納得できます。現在、日本にはこの年代に良いタレントが揃っているので、将来が楽しみですね。
 
 この年代はとても重要で、プロフェッショナル・デベロップメント・フェーズ(プロ育成フェーズ)と呼ばれています。選手たちはまだ成長している過程ですが、競争力の高いフットボールをする必要があります。18歳から21歳までの間にプロの舞台でプレーすればするほど、おおきな成長曲線を描けるのは、データが証明していますから」
 
 4年目を迎えたこの短期研修プログラムについて、シティ側も積極的な姿勢を示す。
 
「才能ある横浜F・マリノスの選手たちに、世界を体感できるチャンスを与えられていると考えていますし、さらなる高みを目指すために、改善点を模索し続けます。
 
 シティ・フットボール・グループはグローバルな組織です。そして、この取り組みはエキサイティングな将来性を持っていると思います」(ウィルコックス氏)