練習中に久保と言葉をかわすDF長友佑都

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 4年前の経験があるからこそ、今は冷静にロシアW杯を見据えることができている。6大会連続6回目のW杯出場を決め、来年6月開幕のロシアW杯に向けて動き出した日本代表。3大会連続のW杯出場を目指すDF長友佑都(インテル)も3日の練習から合流し、練習後の取材対応では14年ブラジルW杯をあらためて振り返った。

「ブラジルを目指した4年間で感じたこと、学んだことはある。そこ(W杯)を目指すけど、しっかり足元を見ないといけない。あのときは完全に力んでいた」。世界一を目指すと公言して臨んだブラジルW杯は1分2敗の最下位でグループリーグ敗退。あっけなく終焉を迎えたコロンビア戦翌日の取材対応では思わず悔し涙をこばす左サイドバックの姿があった。

「そういう経験があって、今は落ち着いて、冷静に物事を見れている自分がいる。強い一歩を踏み出さないと、足元をすくわれる。あのときは先ばかり見て、ジャンプして、飛ぼうとしていた。飛んでいきたいぐらいの気持ちだったけど、物事はそう簡単にうまくはいかない。足元を固めないと簡単に崩れるし、それはあの4年間で学んだ部分」

 自戒を込めた前回の反省は今の長友にとって大きな教訓になっている。「あのときは自分のサッカーキャリアの中でも一番状態が良かった。その自信が過信に変わっていた。そこで足元をすくわれたのかなと。今はもっと謙虚になっている」とまで言う。

 危機感、謙虚さの要因の一つにはハリルホジッチ監督の選手選考もある。今回の代表メンバーには同い年であり、ともに長らく日本代表を牽引してきたFW本田圭佑やFW岡崎慎司の名前がない。「(本田)圭佑やオカ(岡崎)、ハセさん(長谷部)が外れて、次は自分にその番が来るんじゃないか、次は呼ばれないかもしれないという危機感がある」。ハリルジャパンでもこれまで不動の左サイドバックの地位を築いてきたが、だからといってロシアW杯のメンバーが確約されたわけではないという自覚がある。

 それは代表メンバー全員の共通の思いでもある。W杯メンバー23人入りを懸けたサバイバルが本格化する中、「ギラギラしたところが一人ひとりに出てきている」と、合宿に合流して感じているという長友は「(チームが)いい方向に進んでいくんじゃないかという期待も持っている」と、チーム状態への手応えも口にしていた。

(取材・文 西山紘平)