眺めるだけじゃもったいない!そうだ月へ住もう〜移住編

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「月が綺麗ですね」−かの夏目漱石は「I love you」をそう訳したといわれている。2017年、10月の4日は十五夜、中秋の名月だ。お団子を片手にぼんやりと眺めているだけではもったいない。「教えて!goo」には「月の土地」や「月の土地権利」と、月への移住計画に積極的な質問が多く寄せられている。先日リリースした記事「ちょっとリッチな大人旅!そうだ、宇宙へ行こう〜旅行編」の続編として、今回も宇宙ビジネスコンサルタントを務めるスペースアクセス株式会社代表、大貫美鈴さんに詳しくお話を伺った。

■月は誰のもの?

さあ、月へ移住だ! と引越し業者に見積りを頼むその前に、そもそも月って誰のもの? 月の土地の所有権は誰が持ち、誰に許可をもらえば良いのだろう。

「宇宙は誰のものでもないというコンセンサスが形成されています」と大貫さん。

1967年に国連総会にて発効された“宇宙条約”が、月・その他の天体を含む宇宙空間の国家の所有や領有を禁じているのだ。その後84年に発効された“月協定”ではより詳細に月の表面や地下、天然資源は、いかなる国家・機関・団体、そして個人にも所有されないとある。

個人の所有にも言及した“月条約”。ただしこの法、批准はされているものの締結国は国連加盟国193ヵ国中わずか13ヵ国。アメリカ、ロシア、中国などの大国は署名すらしておらず、死文化しているとも言われている。この「抜け穴」を突くようにして、多くの国家や企業が宇宙をめざし商品開発を進めているのだ。

■月、現在“分譲中”

その一人が起業家、デニス・ホープ氏。現在、月の土地を販売しているルナエンバシー社の代表だ。1996年、同社は月の土地を販売し、権利書を発行するという「地球圏外の不動産業」を開始した。

おそるおそる値段は、と問うと、サッカー場ぐらいの1エーカーで3000円足らず、と大貫さん。紙の漱石数枚分ですか……拍子抜けするようなお値段だ。記念日やイベントのサプライズプレゼントとして注目され、全世界で600万人以上が購入、10億円以上を売り上げているのだという。同社は月だけでなく、なんと火星や金星の土地も販売しているとか。

大貫さん曰く、宇宙の星々はいま絶賛“分譲中”なのだ。

「月の土地販売の正当性は別問題だとしても」と大貫さんは前置きをした上で「現在行われている月の土地販売は、誰も月に行けないこと、土地を使用できないことが前提となっている『夢を売るビジネス』」と苦笑する。
実際に子どもへ資産を残すのなら、まだまだ地球の土地の方が現実的かもしれない。

■進む、月でのリアル・ビジネス

一方、「現在、いくつものベンチャー企業がリアル・ビジネスとして宇宙の経済開発を目指しています」と大貫さん。民間企業が月に打ち上げを行うことを認可する制度が整備されてきているというのだ。アメリカでは2015年に「商業宇宙打ち上げ競争力法」が発効。この法律によって、「米国籍の個人及び米国内に本社を置く法人は、宇宙資源を採集し、所有、輸送、利用、売買することが可能となった」(大貫さん)という。

そして今年8月、西ヨーロッパの小国ルクセンブルクでも同様の法は発効された。民間企業による宇宙資源掘削や利用にかかわる所有権を保証するものだ。世界的にこのような法整備が進めば、今後、宇宙での商業開発振興は加速度的に進んでいくでしょう、と大貫さん。

宇宙旅行の開発も進めるAmazonのジェフ・ベゾス氏は、100万人が宇宙に住んで働く社会をつくるため、大型ロケットや月に物資を送る無人輸送機ブルームーンを発表しているという。物資を送る無人輸送から始まり、基地を建設し、月面で人が暮らす……大貫さんは「2020年代〜2030年代には宇宙居住が実現するでしょう」と期待する。

もうすぐじゃないですか……東京五輪どころの話じゃない。まずは宇宙旅行ツアーで土地や物件を「内見」し、「そうだ、月へ住もう!」と引っ越し計画を立ててみる。夢のような話ではなく、現実の夢として月への移住を掲げる日は、案外近いのかもしれない。

■専門家プロフィール:大貫美鈴
スペースアクセス株式会社代表取締役 / 宇宙ビジネスコンサルタント
革新的商業宇宙開発・利用に挑戦するニュースペースを推進している。著書に『来週、宇宙に行ってきます』など。日本女子大学卒業。東京都出身。

(オダギリ)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)