伊ミラノ市内で発表された「フェンディ」18年春夏コレクション会場に到着したゲストら(2017年9月21日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ついにフォトグラファーたちが立ちあがった。数十億ドル産業であるファッション業界のブランドやインフルエンサーが、フォトグラファーたちが撮ったストリートスナップを使用する際、クレジットを記載せずに使用しているこの「ただ働き」状態の現実にスポットライトが当てられた。

 ニューヨーク(New York)やパリ(Paris)、ミラノ(Milan)で行われるショーに来場するトップセレブや有名ブロガーたちの姿を撮るために現地入りした、40人ものフォトグラファーたちが、無許可で写真を使用しているブランドやインフルエンサーへの抗議の意味を込めて、非公式の組合を立ち上げた。

 ブランドは、大抵の場合、商品をインスタグラム(Instagram)などのSNSで宣伝するために、インフルエンサーやブロガーたちにお金を支払っている。数千万人のフォロワーを持つインフルエンサーたちは、無断で使用している写真のおかげで儲けているのに対し、写真を撮っている側には何も見返りはないのだとフォトグラファーたちは主張する。 このきらびやかな世界への足掛かりをつかみたい一心で無給、もしくは微々たる給料で働く人が多いこの業界が、デジタル時代においてどのように機能するのか。

 モデルたち—特にキャットウォークで名をはせようとする若い子たちには、微々たる金額しか支払われていない。「好きなことをやって得られる給料はポケットマネー程度」なのだとパリコレでランウェイを歩いた17歳のモデルがAFPに対し語ってくれた。

■フォトグラファーがインフルエンサーを見出している?

 非公式組合のリーダーであるNabile QuenumはAFPの取材に対し、この抗議は「誰かを辱めるためではない。共通の問題だ。ただ敬意を示してほしいだけだ」と話した。「モデルたちはフォトグラファーのおかげで有名になる。我々がクールだと感じる人を撮るからだ。我々が誰かを撮影するということは、その人がクールだと言っているのと同じこと。そして人々はそういった人からインスピレーションを得ている」

「ブランドは(我々の作品で)どの人が良いとされているのか、誰に市場価値があるのか、どういった人が彼らと顧客をつなげるために投資する価値があるのかを知るのだ。なぜか(インフルエンサーたちは)、我々が見出しているのだと忘れてしまっています」とQuenumは明かす。

 以前はブランドもインフルエンサーたちも「著作権保護された写真」に敬意を払っていたのだと、インフルエンサーたちを撮り続けて8年目のQuenumは言う。しかし、近年増えてきた「少数派」はそうではなかった。フォトグラファーたちに使用料を払わずに営利目的で写真を使う者が増えてきたのだ。

 パリコレ会期中の9月29日に行われた「イッセイミヤケ」のショー会場の外で日本人フォトグラファーのKojiはまん延した著作権侵害の影響で作品をインスタグラムに投稿するのを辞めたと言う。「他人が私の作品を盗み使い、私の名前を掲載してくれないのに、なぜ更新しなければいけないのか。もううんざりだ」と付け足した。

■「無給」のインフルエンサー

 一方インスタグラムではブロガーたちから鋭い意見が返ってきた。ブランドのチアリーダーのような活動をしても「不釣り合いな利益」しかないのだとインフルエンサーたちは反論する。 64万人ものインスタグラムフォロワーを抱える、ブライアンボーイ(Bryanboy)として知られるトップブロガー、ブライアン・グレイ・ヤンバオ(Bryan Grey Yambao)は「『不釣り合い』な給料を得るために、インフルエンサーたちがブランドの服を着ているというイメージはばかげている」と話す。「多くのブランドがどれほどケチなのか、フォトグラファーは知っているのか。私が知る限り多くの子たちは、服を着てもなにも支払われない。『フィッテイング』に行き来するための交通費を払って、ブランドの言う通りに服を着ていることが多い。無給でね!」「インフルエンサーは、ブランドとこの使い捨てのような関係を築くために喜んでやっている。しかし、すぐにブランドは、もっとフォロワー数の多い他の子に乗り換えるんだ」とフィリピン出身のファッションブロガーは語る。

 フォトグラファーに使用料を支払わなくてはいけないことをブライアンボーイは理解していると言う。「それでも、直接雑誌やオンラインショップ、ブランドに写真を売っているフォトグラファーに対し、モデルが使用許可書の発行を求めたことはあるのだろうか?」「自身を映した写真が無許可で撮影され販売されている、とインフルエンサー、編集者、ファッションに関係する人全員が訴え始めたらどうなるか想像してほしい」とブライアンボーイは反論した。

 それでもこの関係は「インフルエンサーやセレブたちに有利なように偏っている。有名デザイナーの服を着用している写真が出回れば、その人の露出が上がる。それによってフォロワーが増え、またその人の利益となる」とアメリカ人フォトグラファー、ジェニファー・グレーロック(Jennifer Graylock)は説明する。「しかし(フォトグラファーの名前が掲載された場合)、彼らは10セントの利益を得るだけで、それ以上の得はない」
【翻訳編集】AFPBB News