クルマのデザイン開発は、様々な制約をクリアせねばならず大変複雑で困難だと言われています。既存プラットフォームの寸法や生産技術、素材やコストの制約がありますし、使い勝手や空力、衝突安全など様々な条件を加味する必要があるからです。またクルマの骨格は、長年使い続けるプラットフォームに依存するため、通常のモデルチェンジではプロポーションを大きく変えることができない状況にあります。

今回新型カムリのデザイン陣は、全てのハードウェアを刷新するビックチャンスに恵まれました。そしてデザイン陣は、技術開発の早い段階から参画することで、プロポーションやデザインに関わる様々な要件をハードウエア開発に織り込んでもらうことができました。

新型カムリのデザインコンセプトは「官能的な動感」と「知的な洗練」の両立。「TNGA」による低重心化に伴い、ボンネットと全高を低く抑えスマートで躍動感のあるプロポーションを実現しました。またフロントは、トヨタトレンドのキーンルックを採用。シャープなヘッドライトに水平基調の大型ロアグリルを組み合わせて、個性的で精悍なマスクを表現しています。

ただカムリは北米市場のベストセラーセダンですから、デザイン開発ではどうしても慎重になりがち。そんな中行われたデザインの初期モデル審査会に、予定のなかった豊田章男社長が登場! そして審査会場で社長自らが「一番飛んでるやつを選ぶのだろう」とハッパをかけていったそうです。こうした経緯もあって、デザイン陣が推奨する「最もカムリらしくない案」がウィナーに選ばれ、デザイン開発が進められたとのこと。

当然デザイン陣が燃えたのは言うまでもありませんが、トヨタ有数のビックブランドのデザイン開発は、こんなにも人間臭く進められているのですネ。美しいプロポーションとアグレッシブなマスクを併せ持つ新型カムリを見ると、あらためてクルマ開発の醍醐味を実感する次第です。

(星崎 俊浩)

【関連リンク】

第556弾新型カムリのすべて(より深く知りたい方はこちらがオススメ)
http://3a.as-books.jp/books/info.php?no=NMS20170805

新型カムリで豊田章男社長が後押ししたのは「最もカムリらしくないデザイン案」だった!?(http://clicccar.com/2017/10/03/516451/)