昨年、ルヴァンカップを制覇した浦和レッズ。決勝になれば注目を集めるが、実際のところそれまではあまり盛り上がらない印象を受ける。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 ルヴァンカップの準決勝が、10月4日と同8日に開催される。来年からはJ2に降格した2クラブの参戦が決定するなど改革も進むが、なお問題点の多いリーグカップの存在意義について、サッカージャーナリストの西部謙司氏に見解をいただいた。
 
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 多くの国で開催されているリーグカップだが、およそ影の薄い存在になっている。
 
 もっとも価値が高いのはリーグ戦で、イングランドのFAカップなど、リーグ戦に先駆けて創設されたノックアウト方式のカップ戦には伝統がある。このふたつに比べると、リー グカップはいかにも中途半端だ。さらにそれぞれの大陸のカップ戦(チャンピオンズ・リーグ、ACL、コパ・リベルタドーレスなど)もあるため、「日程を圧迫する要因」と否定的に見られがちだ。
 
 さすがに決勝になれば注目を集めるとはいえ、それまではあまり盛り上がらない。所詮はリーグ戦の狒箸濛悗┘献礇鵐吋〞にすぎないから新味がなく、平日開催というハンデもある。ヨーロッパではあからさまにメンバーを落として臨むチームが少なくないし、ファイナルのためだけにやっているような感さえある。それでもリーグカップが存続しているのは、試合数をこなさないとクラブの収入が減ってしまうという、興行上の理由が一番だろう。

 Jリーグでは日程の問題が議論の俎上(そじょう)に載せられて久しい。日本の真夏は蒸し暑く、真冬は降雪もあるから試合をやるには適していない。そこを避けてなんとか詰め込んでいるわけだが、過密日程の負担を軽減するなら、真っ先に切り捨ての対象になるのがリーグカップだろう。ただ興行上、簡単にはやめられない。となると、日程を圧迫せず、興行的に も上手くやれて、なおかつできれば開催意義を見出せるような方法を模索する必要がある。
 
 近年、ヨーロッパのオフ期間には、アメリカを中心にインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(以下ICC)というプレシーズンの大会が行なわれている。レアル・マドリー、バルセロナ、ユベントス、マンチェスター・ユナイテッド、パリ・サンジェルマンなどビッグクラブが参加し、今年は中国、シンガポールでも数試合が開催されて盛況だった。
 
 ならばルヴァンカップを発展的に解消し、ICCに便乗した新たな大会を創設してはどうだろうか。
 今年の夏はボルシア・ドルトムントとセビージャが来日し、Jリーグ勢と親善試合を行なった。新シーズンへの準備を始めたばかりの両クラブは本調子とは言えなかったが、それでも随所に高い実力を見せつけていた。対戦したJリーグの選手たちも刺激になったはずで、こうした試合を組むこと自体に意義がある。
 
 日本以上に暑い中国やシンガポールにやって来るビッグクラブがあるのだから、数を集められないことはないはずだ。例えばJ1の18チームを2チームずつの9グループに分け、 各組に招待チームをひとつずつ入れる。3チームの総当たり戦で、そこから先は無理にチャンピオンを決める必要はない。ICCで採用されているポイント制でいいだろう。
 
 ただ、1チームあたりの試合数は2なので、ルヴァンカップで保証されている最少6試合(グループステージ)には4足りない。不足分を観客動員でどれだけ補えるかだが、それでも開催意義はあるし、過密日程の緩和にもつながる。サマーブレイクを少し長めに設けなければならないが、とりわけシーズン終盤の負荷は間違いなく軽減されるはずだ。
 
 ヨーロッパのチームにとっても、この時期のスパーリング相手としてJリーグ勢はちょうどいいだろう。ICCがこの先もアジア諸国で開催されるなら、その前のキャンプ地としての地位を確立してしまえばいい。
 
 開催方法は一案にすぎず、もっといいアイデアがあるかもしれないが、ともあれリーグカップを続けていくよりも、存在意義、興行面、過密日程の緩和、いずれを考えてもベターではないか。真剣勝負感はなくても、爛汽奪ーの夏フェス〞のような形で発展させていけば、面白いと思う。
 
文:西部謙司(サッカージャーナリスト)
 
※『サッカーダイジェスト』9月14日号(8月24日発売)「THE JUDGE」より抜粋