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2014年10月、過激派組織「イスラム国」に戦闘員として参加を希望した北海道大の男子学生が私戦予備・陰謀の疑いで警視庁に事情聴取されたことをめぐり、ジャーナリストの常岡浩介氏が10月3日、自身が男子学生の航空券を手配したことで、警視庁から家宅捜索を受けたことは違法だとして、国と東京都に約621万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

提訴後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見した常岡氏は、「私戦予備・陰謀罪なんていう荒唐無稽な犯罪が成立するわけはない。警察の目的はこちらが持っている情報を奪い取ることだったのではないか」と訴えた。

●家宅捜索までの経緯は?

代理人の清水勉弁護士によると、事の始まりは2014年7月下旬ごろ、知人であるイスラム法学者の中田考氏から「IS(イスラム国)の戦士になるといっている青年を取材してもらえないか」と依頼を受けたことだった。

そこで常岡氏は7月31日、中田氏から紹介され、当時北大生だった男子学生と千葉県在住の20代男性の2人と面会。その数日後には中田氏から、「同行取材するのであれば、トルコ行きの彼らの航空券を購入してもらいたい」と依頼があり、同行取材を考えていた常岡氏は自分を含めた3人分の航空券をインターネットで手配した。

しかし8月11日朝、20代男性は「母親に止められた」、北大生は「友人にパスポートを盗まれたから出発できない」と相次いで渡航をキャンセル。その後、常岡氏は、一人でIS支配地域に渡航を計画していたが、10月6日、警察官が常岡氏の住むシェアハウスを訪れ、携帯電話やパソコン、SDカードなど計62点を押収した。

●私戦予備・陰謀罪「そもそも成立しない」

常岡氏によれば、捜索時に示された捜索差し押さえ許可状には、被疑者名が北大生、罪名が私戦予備・陰謀罪、捜索すべき場所が常岡氏宅と郵便受け、差し押さえるべきものとして携帯電話やコンピューターなどが記載されていたという。

私戦予備・陰謀罪は、外国に対して私的な戦闘を企てることなどを禁じている。清水勉弁護士は、被疑者とされていた北大生に対して「そもそも私戦予備・陰謀罪は成立しない」と指摘。(1)警視庁公安部が捜索差し押さえ許可状を請求したこと、(2)東京簡裁の裁判官が同許可状を発布したこと、(3)令状の執行のあり方ーーの違法性を問うとしている。

常岡氏は、「(家宅捜索を受けた10月に)IS支配地域への渡航を計画していたのは、当時『イスラム国』に拘束されたとみられる湯川遥菜さんを救済するためだった。公安警察の捜査によって、唯一の救援の機会を無責任かつ無意味に邪魔されたことは許しがたい」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)