湘南で3シーズン目を迎える山田。J2を独走するチームを牽引する存在だ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 J2リーグ35節。首位の湘南ベルマーレはホームでツエーゲン金沢と対戦。湘南は4-2で勝利。自動昇格にまたひとつ近づいた。
 
 先制点は開始直後に生まれた。MF菊地俊介のパスから右サイドを走り込んだMF藤田征也がクロス。これを山田直輝が右足で合わせると、山なりのシュートは相手GKに触れることなく、ネットを揺らした。「気持ちで入った感じ」と山田は振り返った。
 
 実は奇襲作戦には山田なりの試みがあった。
 
 それは30節のアウェーでのザスパクサツ群馬戦の再現だった。開始1分、ジネイのシュートのこぼれ球を山田が押し込み、相手選手のオウンゴールを誘発した。
 
 山田は「草津戦みたいに決めようとしたが、まさか入るとは思わなかった。でも、結果につながって良かった」と狙い通りのゴール。さらに10秒以内に決めようとしていたというから驚く。ただ実際は11秒50。「10秒以内だと思ったんですけどね。一度も後ろに下げていないから。もう一度、計り直してください」と話すほどだった。
 
 金沢戦で1ゴール・2アシストの活躍を見せた山田。この充実ぶりには、浦和時代のチームメイトである金沢DFの野田紘史は「めちゃめちゃ、うまいなって思いますよ。なんかボールをいっぱい触って、楽しそうだもんな」と、笑った。
 
 現在、湘南は2位に勝点10ポイント差をつけ首位。一見、ここまでJ2を快走してきたように見えるが、そうではない。
 
 前回、J2を戦った2014年、湘南は開幕から14連勝を達成。その後、21試合負けなしという圧倒的な強さを誇った。しかし、今季は22勝中、1点差で勝った試合が13試合。4連勝が2回あるだけで、14年当時のような痛快さは感じられない。
 
 それでもなぜ、勝てるのか――。
 
 そのヒントを山田はこう語った。
「J1で戦った昨年は良い試合でも負けていたうえ、悪い試合は普通に負けていた。リーグで10連敗した。でも今年は良い試合でも僅差になるけど、細部にこだわり、悪い内容の試合でも崩れず、勝点を取れる。これが今のチームの良さ」
 また湘南・者貴裁監督は14年に比べ、湘南が徹底的に研究されていることを踏まえ、こう語った。
「今のチームには力の差を見せつけるだけの力はない。だからこそ、チャンスを作り続けなければならない。昨年は良い試合をしながら10連敗したが、選手に対し、ゴール前で跳ね返すことの重要性を伝えきれず、割りきることができなかった」。
 
 痛快に相手を攻め倒した2014年の湘南スタイルはJ1の戦いを経て、持ち前のアグレッシブさに加えて粘りが加わった。今年は我慢強い守備もできるチームにカスタマイズされ、それが悪い内容でも簡単にとりこぼさない、勝負強さにつながったのだ。
 
 今季、32試合に出場し、主力として戦い続けた山田。目標にした1年での昇格もあとわずかとなった。
 
「何も決まっていないですし、気が抜けない。気を抜いたら、ボス(者監督)に怒られるから」
 そう山田直輝は笑った。
 
取材・文:佐藤亮太(レッズプレス!!)