9月中旬から進んだ円安の流れは、10月も続くのだろうか? 外為どっとコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は、「日米の金融政策のコントラストが一層鮮明になって、年末に向けてドル高/円安基調が明確になってくるだろう」と予測する。

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 9月中旬から進んだ円安の流れは、10月も続くのだろうか? 外為どっとコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は、「日米の金融政策のコントラストが一層鮮明になって、年末に向けてドル高/円安基調が明確になってくるだろう」と予測する。10月半ばまでは、日米ともに材料不足で明確な動きにはなりづらいものの、日本の総選挙の決着、そして、米国の新しいFRB議長の決定などが期待される月末の時点では、ドル高の流れが明瞭になると見通す。神田氏の語る見通しは、以下の通り。

――当面のドル/円の見通しは?

 世界経済が拡大局面にある時には、基本的に各国の金融政策の温度差が相場の手掛かり材料になる。日米で考えれば、緩やかながら利上げを進め、かつ、量的緩和の縮小に動いている米国FRB(連邦準備制度理事会)と、緩和政策を維持する日銀というコントラストがクッキリしている。不測の事態によって世界景気が悪化しないことが前提だが、基調としてのドル高・円安の動きは継続するだろう。

 ただ、当面は米国サイドからの材料に乏しい。10月にはFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されない。また、8月下旬から9月にかけて米国を襲った大型ハリケーンの影響で、10月に発表される経済統計はイレギュラーなものとなり、金融政策を判断する材料としては手掛かりにし難いものになっている。トランプ氏の税制改革案が議会でどのように受け入れられるか、あるいは、FRBの次期の議長人事が月内にも明らかになるということは予定されているが、それらが明らかになるのは月の後半になってからだ。

 一方、10月は、久々に日本発の材料が注目される場面を迎える。一つには22日に投開票が予定される総選挙だ。現在のところは、ほとんど可能性がないとみられているが、万が一、安倍政権が倒れるということになると、アベノミクスを手掛かりに進んできた「株高・円安」シナリオの巻き戻しとして、株安・円高の動きが起こる恐れもある。ただ、メインシナリオに沿って、自民・公明の与党が過半数以上の議席を確保できれば、足元の「株高・円安」の流れが継続するだろう。

 また、7月に日銀審議員として金融政策の決定会合に加わった片岡剛士・審議委員は、最初の会合で金融政策の維持に反対票を投じて、一段の金融緩和策を主張している。30日、31日で開催される次回の政策決定会合では具体的な緩和策についての案を提出する可能性がある。日銀の金融政策については、一時的に金融緩和の「出口論」もあったが、片岡審議委員の登場によって「出口論」が封じられるような動きになっている。これによって、日米の金融政策のコントラストが一層はっきりしたものになってくるだろう。

 したがって、月末には、日米の金融政策の違いを手掛かりとしたドル高・円安の動きが鮮明になりやすいとみている。

――北朝鮮情勢の影響は?

 トランプ大統領の発言や北朝鮮の反応などがニュースの見出しになりやすいため、依然として材料視されやすいと思うが、実際の値動きを見ていると、マーケットの反応は限られたものになりつつある。外為市場では、舌戦に慣れるとともに、北朝鮮の反撃能力は、それほど強くはないという見方が出てきている。実際の戦闘状態にならないのであれば、両国間でどれほど強い言葉の応酬があったとしても、市場の反応は限られたものになるだろう。

 当面のドル/円は、下値は1ドル=111円が固まってきた。上値は115.50円程度まではあり得ると思う。そして、不測の事態が起こらないのであれば、12月の米利上げを受けて、年末までに1ドル=118程度の円安局面があるのではないかとみている。