【追憶ゲーマー】『絢爛舞踏祭』(2005年)―AIと織り成す妄想SFライフ

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本当に夢中になったゲームの体験は、若かりし頃でも、たとえ幼少時代のことであっても、記憶に深く刻まれています。祖母とゲーム屋に並んだ発売日、一緒にプレイしたクラスメートの笑顔、家族に隠れてこっそり遊び続けた日々……。そうした当時の出来事も、まるで昨日のことのように鮮明に思い出せるものです。

本企画「追憶ゲーマー」では、そんなゲーマーの記憶に秘められた過去の“思い出話”を、Game*Sparkとインサイドのライターが連載形式でお届けしていきます。

今回は2005年7月7日に発売された『絢爛舞踏祭』です。

タイトル:『絢爛舞踏祭』
機種:PlayStation 2
発売日:2005年7月7日
販売元/開発元:旧ソニー・コンピュータエンタテインメント / アルファ・システム(企画) / プロキオン(開発)
ジャンル:リアルタイム・ドラマシミュレーション
公式サイト:http://www.jp.playstation.com/software/title/scps15085.html

―『ガンパレ』を受け継ぐ“ドラマシミュレーション”
『絢爛舞踏祭』のシステムは、伝説的SLG『ガンパレード・マーチ』(2000年発売)のシステムを更に進化させたもの。仲間のNPC達がそれぞれ目的を持って行動する中で、プレイヤーはそこに介入したりしなかったりと、自由なプレイングを楽しめるのが特徴でした。

筆者は『ガンパレ』をリアルタイムで遊ぶ機会を逃していたのですが、当時覗いていたゲームコミュニティーやファンサイトで「あのガンパレの後継作!」と大騒ぎされていたのを強く覚えています。NPCと物語を紡ぐゲーム性、そしてプレイ日記シーンの当時の盛況は『ガンパレ』人気を彷彿とさせ、大作ゲームとは一線を画したカルトな盛り上がりがにわかに感じられました。

―約200年後の火星を舞台にした本格SF
当時の筆者の心に響いたのは、「2252年の水に覆われた火星」を舞台にしたSF的世界観。プレイヤーは火星独立軍の一員として大型潜水艦で火星の海を航海し、地球人や異星人から狙われる水の惑星に「100年にわたって続く“平和”」を築くべく、艦を統括する人工知能や、クセのあるNPC達と共になんやかんやと奔走します。

―密室空間で与えられる解放感
そんな目標を与えられたプレイヤーが選べる行動は、人型兵器で地球や異星人と戦うエースパイロットになったり、潜水艦の艦長として指揮をとったりと、とにかく様々。時には兵器や潜水艦をひたすらメンテナンスする下っ端整備士として四六時中働いてみたり、火星の経済を外部からコントロールしたり、艦の食堂やカフェスペースでダラダラしてみたり。更には恋愛SLG的要素も組み込まれ、歩き回れるマップは広くないものの、「筋書きを自分で創る」というゲーム性が非常に魅力的でした。

―過労で倒れ続けるNPC、ユニーク過ぎる戦闘システム
しかしながら、多くのゲーマーの間での評価はさほど高くなかったのが事実。強烈に広がる隠し設定、独特の陰影効果、お世辞にもド派手とは言えない戦闘システム、複雑過ぎる経済戦、不具合が出やすいAIなどもあり、間口が広いゲームとは言いにくいところ。「過労でぶっ倒れまくる」「艦長命令を無視して突然トイレに行ってしまう」など、NPCのヘンテコ挙動も悪目立ちしていました。

リリースからしばらく経つとネット上ではなんとも言えない評価が広まり、当時『ガンパレ』ファンだった知人たちも早々とプレイ日記をクローズしてしまいましたが、それからも筆者はひとりで5〜6年にわたって『絢爛舞踏祭』をプレイし続けることになります。その決め手となったのは今作の凄まじい没入度の高さ。今では『The Elder Scrolls』や『Fallout』、そして『ウィザードリィ』系ダンジョンRPGなどを好む筆者にとって、『絢爛舞踏祭』はまさに「ロールプレイング」のための前夜祭と言える作品でした。

そんな『絢爛舞踏祭』を手がけた芝村裕吏氏は、直近では『刀剣乱舞』シリーズの監修などで大ヒットを収めています。何かとお騒がせな人物ではありますが、『絢爛舞踏祭』を手掛けたクリエイターが元気に活動しているのは喜ばしいこと。この“スルメゲー”を味わった身としては、『刀剣乱舞』という題名を見ると『絢爛舞踏祭』や彼の創った世界に更なる夜明けがやってくるような気がしてならないのです。