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MicrosoftがWindows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)の次に提供を予定するバージョン1803では、「Progressive Web Apps(以下、PWA)」の実装を目指している。これは2017年9月13日(現地時間)、米シアトルで同社が開催した「Microsoft Edge Web Summit 2017」で明らかにしたものだ。

ネイティブアプリは基本的にパフォーマンスに優れるが、例えばWindows 10上で実行する場合、デスクトップアプリであればセットアッププログラム、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリであれば、Windowsストアからダウンロードするといった手間が発生する。一方、Webアプリではネットワーク帯域が狭い場合は応答性が低下するほか、使用するWebブラウザによっては正しく動作しないケースもあるが、Webブラウザで目的のサイトにアクセスすれば利用可能だ。

PWAはネイティブアプリとWebアプリの利点を両立させるために生まれたもので、より簡単に説明すると「アプリのようなWebサイト」と理解してもらって構わない。

PWAについてはGoogleが以前から注力しており、同社が公開する開発者向けページでは、「段階的な機能強化」「デバイスを選ばないレスポンシブ」「ネットワークに依存しない」「アプリ感覚で利用可能」「常に最新」「安全性」「発見可能性」「リンク可能」といった特性を備えるべきと述べている。すでにAndroid版のGoogle Chrome 58でWPAに対応している。Microsoftも自社のWebブラウザであるMicrosoft Edgeでサポートを予定する。

ユーザーの側から気になるのは「PWAで何が変わる?」という点だろう。Microsoft Program Manager on Web AppsのKirupa Chinnathami氏によるPWAの説明では、Webアプリのメリットとして、「どこでも実行できる」「デバイスを選ばない」「高い表現力を持つHTML5が利用可能」といった特徴を持つ。一方のネイティブアプリは「OS統合による優れた機能・実行環境」というメリットを持ちつつも、実行環境は制限されるため多様的な使い方を実現するには、利用者の創意工夫を求められると述べている。

PWAは優れたUX(ユーザー体験)を提供するWebアプリとして、「非常に素早く実行できる」「画面サイズなどに制限されず、さまざまなデバイスで動作」「HTTPs経由で実行」「ネットワークの状態が悪くてもオフラインでも動作」「プッシュ通知の表示と送信が可能」「よりよいデバイス統合の提供」といった特徴を備える。先にAndroidでのPWAサポート状況を示したが、Windows 10の場合はWindowsストアからパッケージをダウンロードし、UWPアプリのように動作可能だという。

以前からMicrosoftはWebサイトをパッケージ化してWindowsストアに公開する「Hosted Web Apps」を提唱しているが、「Microsoft Edge Web Summit 2017」でPWAのセッションを設けたのも、これをさらに推し進める意思の表れだろう。

Microsoft EdgeがPWAをサポートし、ネイティブアプリと同等の機能やパフォーマンスが提供可能になれば、OS刷新時における各アプリの再インストールも減り、PCの利用スタイルも大きく変わるはずだ。

PWAの提供先であるWindowsストアだが、「Microsoftストア」に改称するという噂がTwitterや複数の海外メディアで話題となっている。Microsoftからの正式発表はないため真偽のほどは不明だが、ソフトウェアに限定していたWindowsストアを既存のMicrosoftストアと統合し、ソフトウェアとハードウェア、電子書籍や音楽といったコンテンツを1ブランドから提供する計画なのだろう。

かつてMicrosoft Azureは、「Windows Azure」という名称だった。昨今Microsoftが発表したWindows 10とOffice 365、Enterprise Mobility+Securityのセットソリューション「Microsoft 365」もWindowsブランドの存在感は薄い。同社はWindowsではなくMicrosoftというブランド構築を推し進めているが、いつの日かWindowsという名前がなくなる日が訪れるかも知れない。

阿久津良和(Cactus)