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もくじ

ー シリーズ3 「新車で買える本物のクラシック」
ー シリーズ4 今も人気の理由とは
ー 916型でドイツ車への対抗目指した
ー シリーズ4より高いコストパフォーマンス
ー (おまけ)ブレラ/スパイダーの苦悩

シリーズ3 「新車で買える本物のクラシック」

シリーズ3のアルファ・ロメオ・スパイダーは、ボディの前後に黒い樹脂製のバンパーとスポイラーを備え、1.6ℓまたは2ℓのエンジンが用意された。

そのスタイリングは「マトン」とか「ラム」と揶揄されがちだが、サリー州のベル&コルヴィルが少量ながら輸入して右ハンドルに改修したシリーズ3は、手頃なオープンスポーツカーのニューモデルがほとんど出ない時代に新鮮な風をもたらした。それは新車で買える本物のクラシックだったのだ。

80年代を通じて積極的な商品力強化が行われたシリーズ3は、古いタイプのオープン・アルファが欲しいひとにとって最も安いコストで夢を叶えるクルマだった。

最高に美しいスタイルとは言えないまでも、ステアリングには依然としてサーボは付かず、燃料噴射ではなく古き良きキャブレターである。2ℓエンジンがシリーズ2よりわずかにパワーダウンし(130ps)、ボディは重くなったが、70年代のクルマにあった楽しさは残っている。

ステアリングが遠くてペダルが近いドライビングポジションは以前のスパイダーに比べて窮屈な感じだし、インテリアの雰囲気も魅力が薄れた。しかしこれが£5,000(85万円)で買えるなら、素晴らしいことではないだろうか?

しかし興味深いことに、歴代のなかで今、支持者を増やしているのは最終モデルとなったシリーズ4だ(これも英国では右ハンドルにコンバートされている)。

シリーズ4 今も人気の理由とは

シリーズ4が今なお人気なのは、パワーステアリングやパワーウインドウなど装備が充実し、しかもスタイルが改善されたからだろう。リアには164風のテールランプがすっきりと収まり、いささか繊細なインテリアもシリーズ3より遥かに魅力的だ。

今回の取材車はワンオーナーカーだったものを、93年に現在のオーナーが結婚記念日のプレゼントとして購入したという。非常に良いコンディションであることは認めるが、売りに出せば£19,000(170万円)ぐらいの値が付きそうだ。

燃料噴射や可変バブルタイミングのおかげで、シリーズ4は排ガス規制をクリアしながらパフォーマンスを維持し、ドライバビリティは多少なりとも向上。しかし明らかに煌めきを失った。

充分に快活だとはいえ、本当に飛ばしたいときのスロットル・レスポンスが鈍いのでエキサイティングには感じない。ステアリングはパワーアシスト付きとしては満足できるものだが、もっと古い105系スパイダーを知るエンスージァストを魅了するのは難しい。ひとつひとつのコーナーでステアリングがどんなニュアンスで語りかけてくるか? そこが違うのだ。

だとしたら916型のスパイダーは、そのへんの不満を払拭してくれているのだろうか?

916型でドイツ車への対抗目指した

フロントドライブになったスパイダー・ツインスパークは、直系の子孫だとは謳ってもいないから、シリーズ4が経験したような嫌な感触はない。

このタイプ916のスパイダーはフィアット・ティーポ/アルファ・ロメオ155のコンポーネンツをベースに、今から20年前に生まれた。製造品質を重視するドイツ車にひとびとの期待が向かっていた時代に、フィアット・グループがそれに対抗しようと一丸となって努力したひとつの結晶だ。

その努力が報われたことは、トニー・プリンスとロジーナ・イームズが今回の取材に提供してくれた1996年型のルッソ(上級グレード)が証明している。1999年に彼らがこれを買って以来、ほぼノートラブル。すでにクラシックカー保険の対象だが、最近になってたまにECUに問題が出ることを除けば信頼性に富み、毎日の足に使ってもコストは安いという。

ウエッジシェイプの大胆なフォルムは、同じ90年代の他のクルマと見比べると、驚くほど古びて思える。ボディは挑戦的なまでにワイドで、比較的短い。ソフトトップは小さなトランクの上にスッキリと格納。サイド見切りの大きなグラスファイバー製ボンネットには、小さな丸い穴が合計4つあけられ、そこからヘッドライトが覗く。

その下にあるのは、賢くも横置きされたツインスパーク・エンジンだ。フル電子制御のツインカムで、スムーズさを確保するために2本のバランサーシャフトを装備。7300rpmまで活発に回る。4個のコイルで駆動する8本のスパークプラグは、理論的には10万kmに1度の交換でよい。

インテリアをチェックしよう。

シリーズ4より高いコストパフォーマンス

ブラック一色のインテリアは平凡だが、ギア比の小さいパワーステアリングの気持ちよさが印象的だ。また、FF車にしては驚嘆するほどタイヤの接地感があり、コーナーを素早く駆け抜けることができる。

ただし、なめらかな感触のシフトレバーの操作を怠ってはいけない。ツインスパーク本来のパフォーマンスを引き出すには、レッドライン近くを保つ必要があるからだ。

洗練されたエグゾーストノートを聞けるのもこの回転域である。今なら£2,500(56万円)かそれ以下で取材車と同等のものが買えるスパイダー・ツインスパークは、シリーズ4よりコスト・パフォーマンスが高く、おそらく今後はもっと値崩れするだろう。

これ以外の歴代アルファ・スパイダーは、市場価値が安定している今が買い時だ。ただし、長らく105系のスプリント・クーペの影に隠れていた70年代のシリーズ2は、取引が活発になってきている。

本物の目利きは750/101系のジュリエッタ・スパイダーを選ぶのだろうが、その価格は今やかなり高い。となれば、80年代のシリーズ3や90年代初期のシリーズ4が、とりあえずはバーゲンだと納得できるのではないだろうか。

アルファ・スパイダーはいつも熱心なファンに支えられてきた。ひとびとが新たな投資先を物色し、クラシックカー市場が高騰するなかで、このクルマは実に興味深いバリュー・フォー・マネーを示している。

考えてもみてほしい。完璧なコンディションの希少なデュエット1750が£30,000(510万円)で買えるのだ。クラシックカーとしての価値は60年代後半のE-タイプやポルシェ911にも負けない。しかしそれらの価格はもはや別世界なのである。

(おまけ)ブレラ/スパイダーの苦悩

ブレラ・コンセプトのイメージを保ってアルファが2006年に量産ブレラを送り出したとき、エンスージァストたちは息を飲んだ。FFになったGTV/スパイダーには運転する楽しさが足りなかったというのも理由に挙げられるだろう。

このゴージャスなクーペとそこから必然的に派生するスパイダーは、アルファのスポーティな輝きを復活させてくれただろうか? 残念ながら、答えはノーだった。

クーペのブレラは確かにGTVより進化した。最上級のV6仕様では4WDも選べた。しかしルーフを切り落としたスパイダーは、そのピニンファリーナのデザインの裏側にあるべき本質が失われていた。お馴染みの問題点はスカットル・シェイクだ。そこにおぞましい記憶が蘇る。パンチの効いたターボディーゼルや、懐かしい「1750」のバッジを復活させるガソリンのターボエンジンなどで、少なくとも洗練させようとはしていたのだが…。

ブレラ/スパイダーの生産は2010年に終結。それから4年後、今年のジュネーブショーでか「スパイダー」の名がミドエンジンの4Cのオープンモデルとして復活した。