FacebookのNFL公式ページではハイライト動画が視聴できる

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 米プロフットボールリーグ、NFLの試合ハイライト動画などスポーツコンテンツが、SNSやソーシャルメディアなどIT企業が提供するプラットフォーム上で視聴できるケースが多くなっている。

 NFLの試合ハイライト動画は、ツイッターやYouTube、Facebookに存在するNFL公式アカウントで視聴できる。また、Amazonでは、米国時間の木曜夜に開催されるプロフットボールリーグNFLの「Thursday Night Football」をAmazonプライム・ビデオ会員は追加料金不要で視聴できる。9月から12月までの期間に、試合ハイライト動画が1試合、試合ストリーミング動画が10試合、配信される予定だ。

 日本時間9月29日のシカゴ・ベアーズ対グリーンベイ・パッカーズ戦では、Amazonプライム・ビデオで約200万人が視聴した。昨年は、ツイッターが、10試合ストリーミング動画配信したのであるが、ツイッターでの初回のストリーミング配信では230万人が視聴した。

 この数字だけ見ると、ツイッターよりもAmazonプライム・ビデオのほうが、視聴者数は少なかったのだが、30秒以上視聴した人数を比較すると、Amazonプライム・ビデオが37万2000人、ツイッター24万3000人と、Amazonプライム・ビデオのほうが長時間視聴するユーザーが多いという結果になった。(参照:「ロイター」)

◆新動画サービスを発表したFacebook

 8月9日(現地時間)、米Facebookは、米国の一部ユーザーを対象に新しい動画配信サービス「Watch」を開始したと発表した。Facebook上に新たな「Watch」タブが追加され、ここでパートナーによるオリジナル動画コンテンツ「Show」を配信していく。Watchはモバイル、デスクトップ、ラップトップ、およびテレビアプリケーションで利用可能になる。(参照:Facebook)

 番組の事例として、有名ラッパーのNas Dailyや、New York Times ベストセラー作家の Gabby Bernstein、子供向けクッキング番組のTastemade’s Kitchen Littleの他に、Major League Baseball Liveなどがあるとしている。

 また、Facebookはすでに、NFLとレギュラーシーズンの256試合、プレイオフ、スーパーボールのハイライトや総集編の動画をフェイスブックで配信する複数年契約を締結しており、NFLの試合ハイライト動画もFacebook上で視聴できるようになっている。

 実は、ここにIT企業同士の争いもあった。Facebookは木曜日の夜の試合をストリーミングするプラットフォームになることを目指していたが、最終的に入札プロセスでAmazonに敗れたのである。

◆サッカーW杯でもSNS配信が台頭

 来年ロシアで開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)でも、米プロフットボールリーグと同様に、Facebook、ツイッター、米Snapchat(スナップチャット)が各試合のハイライト映像をオンライン配信する権利を米国での放送権を保有するFOXから取得することを目指していると報道されている。

 FOXは2018年と22年のW杯の米国での放送権を得るため4億ドル(約448億円)余り支払ったと報じられている。同社はFOX Sports を通じて、モスクワの象徴的な赤の広場にスタジオを設けて、1か月のワールドカップのトーナメントに350時間の番組を放映する計画だというが、Facebook、ツイッター、Snapchatなどにハイライト動画配信の権利を与えて、新たな収入源を確保する可能性が出てきた。1社に独占的な権利を付与するかもしれないし、あるいは、数社に権利を付与するかもしれないが、どのようになるか今後注目しておくべきだろう。

◆侵食されるテレビの牙城

 こうした状況もあってか、米国ではテレビ離れが進んでいる。そんな中にあって、ライブスポーツは、ライブ視聴率の顕著な低下トレンドに対して、テレビ業界で最も強力な防波堤であった。サッカーやバスケットボールのファンは、ライブ中継を視聴する。オンデマンドで視聴する人は少ないのだ。そのため、スポーツイベントのテレビ広告は、高価格で維持されているのである。

 NFLの試合は、地上波のCBSおよびNBC、また、ケーブルチャンネルであるNFL専門局のNFL Network(NFLネットワーク)でも多くの人が視聴してきた。しかし、今はもうNFLの試合動画は、ハイライト動画かストリーミング動画の違いがあるにせよ、ツイッター、ユーチューブ、Facebook、Amazonなどで視聴できるようになった。

 近い将来、スポーツコンテンツが、SNSやソーシャルメディアなどIT企業が提供するプラットフォーム上に完全移行してテレビ放送が無くなるのだろうか? 今後の行方が注目される。

<文/丹羽唯一朗>