【本田武史のGPシリーズ展望 男子編】

 10月22日からスタートする、フィギュアスケートグランプリ(GP)シリーズ。トップ選手が揃うこのシリーズは、来年2月に控える平昌五輪の”前哨戦”となる。4年前の、ソチ五輪を前にした2013年のGPファイナルでは、羽生結弦がパトリック・チャンを破って初優勝し、五輪でも金メダルを獲得した。

 また、今年のGPファイナルは名古屋で行なわれるため、例年以上に注目度が高まることは間違いない。果たして、どんな勝負が繰り広げられるのか。選手として五輪2大会に出場し、現在は解説者を務める本田武史氏に、まずは羽生結弦、宇野昌磨の活躍が期待される男子の見どころを聞いた。

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 間もなく開幕を迎える今年のGPシリーズは、平昌五輪を占う戦いになります。



昨季は羽生のGPファイナル4連覇で幕を閉じたが、今季の行方は

 男子は、いきなり第1戦のロシア杯で、平昌五輪で2大会連続の金メダルを狙う羽生結弦選手と、最大のライバルと目されるネイサン・チェン選手(アメリカ)が対戦します。お互いに独自の世界観を持っている2人なので、淡々と自分の演技に集中するんじゃないでしょうか。昔の”アレクセイ・ヤグディンvsエフゲニー・プルシェンコ”みたいな「絶対にこいつに負けたくない」というバチバチの戦いではなくて、「俺は俺でこれをやりますよ」という感じになるのかなと思います。

 平昌五輪が控える今シーズンも、男子の勢力図は昨シーズンと変わらないと思います。羽生選手、宇野昌磨選手、ハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)、チェン選手、ボーヤン・ジン選手(中国)のトップ5の争いは堅いでしょう。そこに、パトリック・チャン選手(カナダ)がどれだけ魅せる演技で食い込めるか。トップ5にパトリック・チャンを加えた6人の戦いは、五輪本番まで熾烈(しれつ)を極めることは間違いありません。

 ジュニアからシニアに上がってくる選手たちも、その6人に食らいついてほしいものです。特に注目したいのは、アメリカの新鋭であるヴィンセント・ゾウ選手と、韓国のホープのチャ・ジュンファン選手。ゾウ選手は4回転のルッツもフリップも跳べるジャンパーですし、チャ・ジュンファン選手はよく”踊る”ところがジャッジから高い評価を得ています。

 GPシリーズの前半戦が、ファイナルに進出する顔ぶれに大きく影響することになるでしょう。第2戦のスケートカナダでは宇野選手とパトリック・チャン選手の対決がありますが、宇野選手がフリーで何種類・何本の4回転を跳ぶ構成にするのかが楽しみです。ネイサン・チェン選手は4回転を6本跳んでくるという話も聞いていますからね。

 そして、第3戦の中国杯ではフェルナンデス選手とジン選手の勝負が見られますが、ここに伏兵のゾウ選手がどう割り込むのか。意外な番狂わせがあるかもしれません。2015年に衝撃的なシニアデビューを果たしたジン選手は、しばらく「4回転ルッツのジン」と称されてきましたが、今やゾウ選手も軽々と質のいい4回転ルッツを跳んできます。表彰台争いで3人の順位がどうなるかによって、ファイナル進出のメンバーが変わってくるはずです。

 個人的にうれしいのは、パトリック・チャン選手が第4戦のNHK杯に10季ぶりに出場することです。おかげで、NHK杯は見ごたえのある戦いになりそうです。羽生選手とチャン選手との新旧王者対決に注目ですが、4回転を3種類跳び、すごくスケートがうまいジョシュア・ファリス選手(アメリカ)が番狂わせを起こす可能性もあるでしょう。
 
 先ほども言いましたが、トップ6の顔ぶれがそのままファイナルでも見られるのか、それともその一角を若手筆頭格のゾウ選手やチャ・ジュンファン選手らが奪えるのか。男子は常連組と若手組の勝負も楽しめそうです。

(女子編に続く)

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