月経量が多くなったり月経が長引くのは、子宮筋腫のせいかも…。
命にかかわることはないが、強い症状のため日常生活に支障が出ることも。悪性の「肉腫」との鑑別も必要。

こんな症状があったら子宮筋腫かもしれません

次のような症状はありませんか? もし思い当たることがあるようなら、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)かもしれません。

・健康診断で今まではなかった貧血がわかった
・おなかに圧迫感を感じるようになった
・下腹部にしこりを触れる
・尿が近くなった
・便秘がちになった
・月経(生理)が長引く
・月経血にこれまでなかった血の塊が混じるようになった
・月経時は昼でも夜用の生理用品を頻繁に交換しなくてはならなくなった

ここにあげた症状の半分は、月経量が増えることに関連した症状です。月経量が増えると、血の塊が出るようになりますし、少しずつ少しずつ貧血が進んでいくこともあります。貧血は血液中で酸素の運搬をするヘモグロビン(血色素)が減少し、体に酸素がスムースに十分運ばれなくなった状態ですが、徐々に進行する場合には自分では気づきにくく注意が必要です。ヘモグロビンが通常の半分程度に減っていても、「そういえば疲れやすくなったような気がする」「手足が冷えやすい」「階段よりもなんとなくエスカレーターをよく使うようになった」といった、漠然とした自覚症状しかないことがあります。
治療して貧血がよくなってから初めて「今考えると、あの時は体はつらかったんだとわかりました」とおっしゃる患者さんも少なくありません。

子宮に硬いしこりができ、いろいろな症状がでる

子宮筋腫は子宮にできる硬いしこりで、そのしこりのためにいろいろな症状が出る病気です。子宮にできたしこりは、筋肉を押しのけるような形で大きくなったり、子宮の外側に向かって張り出したりするもので、がんや肉腫のような悪性の病気ではありません。また、ほかの臓器に転移するようなこともありません。子宮筋腫が命にかかわることはまずありませんが、中には強い症状のために日常生活が妨げられたり制限されたりする方もいます。

子宮筋腫ができると、月経が起こる子宮内膜の面積が広くなって月経量が多くなったり、月経血が止まりづらくなったりして月経が長引くことがあります。月経量が多くなると一部の血液が固まった状態で出てくるので、まるでレバーのように見えることがあります。
硬いしこりを下腹部に触れることもありますし、かなり大きくなるとうつぶせで寝たときなどにつかえる感じがしたり、寝返りのときに違和感があったりします。
このような症状は子宮筋腫のしこりの大きさやできる場所に左右されます。

子宮筋腫は、30歳代の女性の4〜5人に1人、40歳代の女性の3〜4人に1人が持っているというデータがあるくらい、かかっている方の多い病気です。しかし、どうしてこのようなしこりが子宮にできるのかといったことは、まだよくわかっていません。
同じような子宮筋腫があっても、急に大きくなって治療が必要になる人もいれば、全くサイズが変わらずに定期的な通院だけで経過を見ていける人もいます。この違いがどうして生じるのかも不明です。
一般には、月経が止まって閉経すると、月経のときに出る症状がなくなり、子宮筋腫も少しずつ小さくなっていくことから、女性ホルモンが影響していると考えられています。

子宮筋腫と決めつけるのは危険です

子宮筋腫は子宮にできるしこりですが、それと似ている「子宮肉腫」という悪性の病気があります。子宮肉腫は大きくなるスピードが速く、ほかの臓器に浸潤や転移という形で広がって生命にかかわります。発症する確率は5〜6万人に1人くらいと低いのですが、症状や診察した時の状態が子宮筋腫と似ている場合があるために、診断が難しいという厄介な面を持っています。子宮頸がん検査や子宮体がん検査といった細胞の検査を行っても、発見できないのです。

冒頭のような症状がある場合には、まず内診(婦人科特有の触診方法)や超音波検査を行います。子宮筋腫がはじめて見つかった場合や子宮肉腫の可能性が疑われる場合には、血液検査やMRI(核磁気共鳴画像)検査などでさらに詳しく調べておく必要があります。MRI検査で子宮肉腫が高い確率で疑われる特徴的なパターンが出た場合、ほかの検査結果とあわせて推定します。
しかし、これらの検査でも子宮肉腫かどうかを100%確定できるわけではないので、子宮筋腫だろうと思われる場合でも、しばらくの間は大きさやしこりの状態の変化をこまめに確認しておく必要があります。
子宮肉腫の場合は大きくなるスピードが速く、女性ホルモンの影響で大きくなる子宮筋腫とは違って、閉経後でも大きくなるという特徴があります。

これ以外にも子宮腺筋症といって、子宮の壁が腫れて月経量が多くなったり月経痛が強くなったりする良性の病気もあります。

子宮筋腫と診断された場合、薬物療法と手術を中心にさまざまな治療法があります。どの治療法を選択するかは、症状や筋腫の状態はもちろんですが、患者さんの年齢や妊娠を希望するかどうかなどによっても異なってきます。
次回は、子宮筋腫の治療法にはどんなものがあるのか、選択するポイントは何かといったことについて解説します。

(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2011年3月に配信された記事です