オーストラリア大陸沖に存在していたという説がある、失われた大陸「ジーランディア」の実態を解き明かすべく進められてきた海底調査が、9週間のスケジュールを完了して調査団が基地となる港に帰還しました。今後1年以上かけて詳細な分析が行われることになる予定ですが、海底のボーリング調査で採種された地質サンプルからは数々の化石が発見されており、かつてそこには大陸またはそれに準ずる浅海が存在し、生き物が行き来できる環境が存在していたことが徐々に明らかになっています。

Scientists reveal secrets of lost continent Zealandia | Earth | EarthSky

http://earthsky.org/earth/lost-continent-zealandia-drilling-expedition-2017

調査を行ってきたのは、「国際深海科学掘削計画」(IODP)に参加する12カ国・32名の科学者からなる調査チームで、9週間にわたる洋上での調査を終えてオーストラリアの南に位置するタスマニアの都市ホバートに帰還しました。調査は深海掘削船JOIDES・リゾリューションを用いて深さ1000メートル以上の海底をボーリングしてサンプルを採種して地層を分析することで生命の痕跡を調査し、4000万年〜5000万年前に深く沈んだとみられる大陸の当時の様子を調べるというもの。今後、持ち帰られたサンプルを詳細に分析する作業が1年以上にわたって行われる予定ですが、調査に携わった科学者たちは洋上の分析で数百以上の化石を発見することに成功しており、かつてジーランディアが浅い海の下に存在していたことはほぼ確実であると考えています。



ジーランディアは現在のオーストラリアの東部に存在していたと考えられており、その面積はインドと同等とされています。「大陸」とは呼ばれていますが、実際には多くの部分が浅海になっていたと考えられており、陸地に分類することについて否定的な考えもありますが、一方では生き物の繁殖に適した環境が存在していたとも考えられており、地球の進化や生物の分布などに大きな役割を果たした可能性もあります。



ボーリングされたサンプルの長さは合計で2500メートルにも及ぶとのこと。その中には、温かい浅海に生息していたとみられる微細な貝や、地上に生える植物の胞子や花粉の化石などが見つかっており、かつてはジーランディアが浅海の状態または海面よりも高い位置に陸地を形成していた様子をうかがわせる痕跡が確認されています。さらに、過去の地球の気候変動や、火山活動の痕跡を知ることができるデータも採種できるとみられています。かつて海面近くにあったジーランディアは、海底火山の活動や地殻変動によって現在の水深1250メートルまで一気に沈下したものと考えられています。



研究チームの移動ルートは、以下の地図で示されているとおり。ジーランディア北部から中部にかけて移動し、数か所でボーリング調査が行われています。



今回のジーランディアの調査によって、これまでは知られてさえもいなかった「第8の大陸」の姿が徐々に明らかにされるものと期待されるとどうじに、過去の気候データを詳細に調査することで、今後の気候変動のコンピューターシミュレーションの精度を向上させることも期待されています。調査の様子は、以下のムービーでその一端を垣間見ることができます。

First Drill-Expedition 371 Tasman Sea Frontier - YouTube