ミランはローマに敗れ連敗となってしまった【写真:Getty Images】

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スタメン11人中、実に9人が新戦力

 ナポリが開幕7連勝を達成し、ユベントスがアタランタと引き分けた17/18シーズンのセリエA第7節。10月1日、ACミランはホームにローマを迎え0-2の黒星を喫した。夏に大量補強を敢行し陣容を一新したロッソネーロだったが、選手の大半が昨季からの残留メンバーで構成されるローマを相手に、その成熟度の差を見せつけられた。(文:神尾光臣【イタリア】)

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 ナポリの7連勝並びに単独首位浮上、アタランタがユベントスからドローをもぎ取ったことなど話題の多かったセリエA第7節。しかし大量補強を図ったはずのミランが2連敗を喫したことも、今節の大事件だろう。前節アウェイでサンプドリアに敗れた彼らは、今度はサン・シーロで土をつけられた。

 公式戦では過去4戦勝ちがなく、しかも3連敗中の相手。近年は2位、3位にコンスタントに入るローマに対し、ミランは順位差通りに負けていた。もっとも今シーズンは、少なくとも戦力差は縮まったはず。実際この日の対戦でも、最初の失点まではローマを押し込んでいた時間帯もあった。しかし、新戦力のフィットに苦労する彼らは、連係の成熟度という部分で相手に屈した。

「この選手たちの力を引き出すには3バックが良い。(レオナルド・)ボヌッチもそのために獲った」

 第3節のラツィオ戦で1-4の大敗を喫したのを機に、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は3-5-2にシステムを切り替えていた。もっともメンバーは固まり切らず、ピリッとしない内容の試合を続けて前節はサンプに惨敗。ELリエカ戦でもロスタイムに辛くも逃げ切るという苦しい試合展開を受け、模索はこの日も続いた。スタメン11人中、実に9人が新戦力だった。

 2トップはニコラ・カリニッチにアンドレ・シウバの新戦力コンビ、右アウトサイドには本来FWのファビオ・ボリーニがコンバートされた。その一方で、昨季の主力だったスソやジャコモ・ボナベントゥーラは、ELリエカ戦に続いてこの日もベンチスタートだ。

 もっとも模索中のミランも、最初の60分間はローマと互角に戦えていた。守備が不安視されたボリーニは、むしろ守備で機能。走力の高さを活かして守備ではDFラインまで戻り、対面のウイングであるステファン・エル・シャーラウィへのスペースを消した。

 彼のみならず、中盤の選手も守備の際にはしっかり戻り、ハイプレスと高い位置からの速攻を持ち味とするローマの攻撃に対抗した。

前線と最後尾の距離が間延び。生まれたスペースを突かれる

 そしてボールを奪ってからは、ボヌッチとアンカーのルーカス・ビグリアが一気に前線へミドルパスを放ち、攻撃への素早い切り替えを目指した。スピードのある2トップと両WB、そして中盤のハカン・チャノハノールやフランク・ケシエがパワフルに前線へと迫った。

 そして中盤のタフな守備により、ローマの前線を孤立させることにも成功した。ここ最近の試合で安定感に欠けた3バックもCFのエディン・ジェコに対し余裕のある対応ができるようになっていた。

 後半になるとサイドを一気に破り、シュートを狙えるシーンも増えるようになった。しかし、そんなペースが続いたのも60分過ぎまで。運動量が徐々に低下し、前線と最後尾の距離が間延びしてくると、中盤にはスペースができるようになった。そして72分、ローマにそこを突かれた。

 チャノハノールの運動量低下でできたスペースを、ローマの若手MFロレンツォ・ペレグリーニにまんまと使われた。

 61分にも正確なスルーパスを放ってビッグチャンスを作っていた彼は、サイドでのボール奪取に呼応してスペースに顔を出す。そしてパスを受けると前線へボールを運び、ビグリアの当たりを受けながらも縦パスをジェコへ通した。ジェコはマテオ・ムザッキオのマークを振りほどき、ミドルシュートをゴール右下へと突き刺した。

選手入れ替え、基本システムも変更。成熟度の差が露呈

 ローマにはブレがなかったのである。今季からエウセビオ・ディ・フランチェスコ監督を迎えて4-3-3へシステムを切り替えているが、選手の大半は昨季から残留している。そして夏の間、練習を積んで新戦術を消化した彼らには、何をするべきかという共通理解ができていた。

 加えてペレグリーニは、ディ・フランチェスコがサッスオーロから連れてきた選手(ローマの下部組織出身なので正確には古巣への復帰)。きちんと監督の意思を遂行できる彼らは守備ラインを我慢して整え、チャンスを突く準備があったということ。一方で多くの選手を入れ替え、さらにシーズンに入ってから基本システムも変えたミランには、そういう面での成熟がなかった。

 そして先行を許したミランの3-5-2は粗をさらし、77分には最終ラインの連係も完全に崩れて追加点を喫した。左サイドに出て縦パスを受けたジェコに、ムザッキオとボヌッチが一遍に吊り出される。

 その裏にはラジャ・ナインゴランが走り込み強烈なシュート。GKジャンルイジ・ドンナルンマはこれをセーブしきれず、こぼれ球をアレッサンドロ・フロレンツィに押し込まれた。

「今、これでモンテッラは厳しくなった(ガゼッタ・デッロ・スポルト電子版)」

 試合後、地元メディアは早速モンテッラ監督の苦境を伝えている。大量の新戦力を短期間のうちにまとめる作業はどの監督にも簡単ではないはずで、同情の余地はある。機能するまでには時間も必要だろうが、強大補強で期待を膨れ上がらせた周囲は待ってはくれない。

 代表ウイーク明けには、よりによってミラノダービー。その結果次第では監督の解任が叫ばれる恐れも出てきそうだが…。

(文:神尾光臣【イタリア】)

text by 神尾光臣