風鈴を5個ぶら下げたら騒音?

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 住宅密集地や集合住宅に住む場合、気にしなくてはいけないのが騒音の問題。生活している以上、ある程度の騒音が発生するのは仕方がないが、風鈴を5個ぶら下げたことは、“受忍限度”を超えた騒音になるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 先日、騒音問題で隣人同士が争う事件が起きました。なんでも騒動の発端は引っ越してきた住人が風鈴を5個ぶら下げていたのが“うるさい”ということだったそうです。しかし、風鈴を5個鳴らしたくらいで騒音になるかは疑問ですし、最近の受忍できない騒音とは、どのくらいの音量を指すのでしょう。

【回答】
 風鈴は風流ですが、音量がすぎると騒音になります。騒音規制法は工場の騒音、建設工事の騒音、自動車騒音の許容限度を定めるもので、飲食店やカラオケ店などの騒音も規制対象です。しかし、経済活動と関係のない、いわゆる生活騒音については規制する法律がありません。とはいえ社会生活の中で、互いに受忍できる限度を超えれば不法行為になり、騒音を発生する行為の差し止めや慰謝料の支払いを命じられる場合もあります。

 音量がどれくらいで受忍限度を超えるかは一概にいえません。発生音量だけでなく、苦痛に感じる人の到達したときの音量が問題です。したがって隣家との距離や、その間の障壁の有無、その種類で違ってきます。

 さらに周囲の環境は閑静か、騒音原因が生活上意味のあることか、騒音回避の措置が取られているか、騒音発生の時間帯、騒音継続の時間、騒音被害の程度など、諸々の条件で変わってきます。また、受忍限度は普通の人を基準に判断されるので、同程度の音量の騒音を受けている周りの人が気にしていないときは、被害者の感受性も問題になります。

 ちなみに音量はデシベル(dB)で表わしますが、家庭用機器の音量はエアコンや換気扇だと40〜60dB、掃除機で60〜76dBなどといわれています。日常会話の標準的音量、テレビの音量なども50〜70dBで、この程度の音量だと非常識な時間帯に長時間継続しなければ誰もがすることですから、受忍限度内です。

 当該人物が風鈴をまとめて5個ぶら下げたとすると、強い風が吹けばうるさいはず。しかも軒先に下げるのが普通ですから、発生した音量は減衰することなく隣家に響きます。そもそも5個の風鈴をぶら下げる必要性があるとは考えられません。隣人が怒るのも当然で、無理はないと思います。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年10月13・20日号