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◆「空回り」して貢献できてないと感じる人が多い

 モチベーションファクター(意欲の源泉)を梃にした、分解スキル反復演習型能力開発プログラムを実施する中で、職場におけるストレスを解消する演習も行っている。

 ストレスを感じる場面を洗い出してもらうと、「成果が上げられず、やりがいを実感できない」「忙しいのだが、空回りしているようで、むなしい」「自分の仕事が会社に貢献できているかどうかわからずに、手ごたえを感じられない」……という意味の状況が挙げられることが多い。

 「上司は部下に業務を指示する際には、その業務の全体の中での位置づけや、意味を説明しなければならない」ということがよく言われるのだが、上司が部下に言葉で説明し、部下がそれを耳で聞いたり、目でみたりしても、実感が持てないことが実情だ。

 もし、分解スキルを身に付けて、成果につながる実感が持てたり、緊急度による優先順位付けができて自分が仕事をハンドルできているように思えるようになったり、どの程度自分が貢献できているのかを見極めることができるようになったら、すばらしいと思わないだろうか。

◆アクションを洗い出して分解していく

 このスキルも、スキルを分解していき、コアスキルを見極めて、反復演習していくと、それが実に容易に身に付くのだ。

 実は、こうしたストレスを感じるケースでは、アクションの優先順位付けが出来ていないケースが多い。「常に、優先順位を付けて、アクションプランを立てている」……という反応を受ける場合もあるが、よく聞いてみると、優先順位の付け方が、その場しのぎだったり、上司からの指示の強さだったりしていて、成果につながっていないケースが多い。

 演習では、今日なら今日、今月なら今月といった期限でアクションしたいことを、10アクションを、付箋10枚を使って書き出す。付箋に書き出す時は、付箋ののりしろを上に、1枚の付箋に1行か2行のキーワードで、鉛筆やボールペンではなくサインペンで書き出す。

 その上で、アクションの優先順位付けを、3つの切り口に分解して実施すると、成果につながりやすい。その3つとは、重要度、緊急度、貢献度による優先順位付けだ。

◆そのアクションを実施しなければ目標達成できないか

 重要度という概念も、ひとそれぞれだ。ある人は大きな仕事かどうか、別な人は依頼者の困り具合のレベルに応じて、重要度を判定している。そこで、重要度を、目標達成に寄与する度合というように分解して、以下の基準で判定する。

・重要度 大:このアクションを実施しなければ、間違いなく目標達成ができない
・重要度 中:このアクションを実施なければ、目標達成ができないかもしれない
・重要度 小:このアクションを実施しても、実施しなくても、目標達成に影響がない

 重要だ、重要だと思っても、実は、実施してもしなくても、目標達成に影響がないアクションが混在しているケースが意外に多いものだ。目標達成に寄与するかどうかで判定して、その優先順位に従ってアクションすると、パフォーマンスが上がる。

 演習では、10のアクションを書き出した付箋の右下に、重要度の大、中、小に応じて、大、中、小という文字を記入する。

◆緊急度と貢献度で分解する

 次は、緊急度だ。緊急度という意味の受け取り方も人それぞれなので、次のように分解して、緊急度を判定する。以下の例は、来月のアクションの優先順位付けの例だ。

・緊急度 大:来月第一週末までに実施しなければならないアクション
・緊急度 中:来月第二週末までに実施しなければならないアクション
・緊急度 小:来月第四週末までに実施しなければならないアクション

 これが、来週のアクションの優先順位付けであれば、例えば、来週月曜日まで、来週水曜日まで、来週末までという区分になる。これらの区分は、自分で決めればよい。

 そして、付箋の、今度は左下に、緊急度の大、中、小を記入していく。右下に重要度の大中小、左下に緊急度の大中小が記載されることになる。

 最後は、貢献度だ。目標額で分解し、数値化された目標額に応じた円の大中小を、付箋の文字にかぶせて記入する。各々の目標に応じた、例えば、売上額だったり、利益額だったり、経費節減額だったり、あるいは、顧客満足度だったりするかもしれないが、その大きさをイメージした円だ。

 人によっては、1億円の売り上げが大きい丸、5000億円が中くらいの〇、1000億円が小さい丸となるかもしれない。それは、各々が区分していけばよい。

◆15分でバブルチャートをつくる

 重要度(目標達成寄与度)、緊急度の大中小を書き、貢献度の円を書いた、付箋を、縦軸に重要度の大中小、横軸に緊急度の大中小の区分を描いた台紙に貼れば、優先順位付けされたアクションプランのバブルチャートが出来上がる。

 そして、全体を見渡して、総合的な優先順位を、1から10まで付箋に記入していく。だいたい、右上から、左下に、総合的な優先順位が記入されるはずだ。そうでなければ、重要度、緊急度のどこかに大きな理解違いがあるかもしれないので、見直しをする。

 これを、アクションの洗い出し5分、重要度、緊急度、貢献度の各々の分解に各3分ずつ計9分、台紙への貼り出し1分と、15分程度で行う。むしろ、それ以上の時間はかけない。ああでもない、こうでもないと重要度や貢献度の測定に時間をかけて、厳密にそれらを判定することが目的ではなく、アクションを実行して成果を上げることが目的だからだ。

 この方式は、もしかしたら、気合と勘で行っていたかもしれないアクションプランの優先順位付けを、短い時間で重要度、緊急度、貢献度により分解し、優先順位の確度を飛躍的に上げるものだ。これにより成果が出やすくなることが実証されている。

 そして、アクションを実行するその人の、成果を上げられている実感を強め、仕事が空回りしている感覚を解消し、貢献できているという思いを高める方法なのだ。それも、わずか15分で出来るのであれば、実施してみてはいかがだろうか。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第51回】

<文/山口博 画像提供:ピクスタ>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある