食欲の秋、スポーツの秋もよいですが、秋の夜の過ごし方でおすすめなのが読書です。お風呂上がりのリラックスタイムに、お気に入りのお茶を飲みながらゆっくりと活字と向き合う時間は、きっとあなたを素敵な世界へ誘ってくれます。読書の秋にぴったりの、今読みたい話題の本をご紹介しましょう。

『蜜蜂と遠雷』/恩田 睦著



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この作品は2016年下半期の直木賞と、2017年本屋大賞をダブルで受賞した傑作です。3年ごとに開催される国際ピアノコンクールがこの物語の舞台。天才の住む世界を垣間見ることができます。登場人物は、音楽院の学生のマサル。母が死んで以降、ピアノから遠ざかっていた過去を持つ栄伝(えいでん)亜夜。天楽器店に勤める高島明石(あかし)。風間塵(じん)は、音楽教育をほぼ受けたことがなくピアノすら持っていない。この4人のピアニストが、数々の予選や本選を戦い抜いていくなかで葛藤、苦悩し、自らと闘ってゆくストーリーです。ピアノを弾いたことがない人でも物語のなかにぐっと引き込まれ、頭のなかには美しいピアノの音色が響きます。胸が熱くなり、涙腺が緩むような本が読みたい人はぜひ。

『君の名は。』/新海 誠著



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映画で観たという人も多い本作。公開されたとたん、原作も話題になりました。自分のペースで、数々の名シーンを味わいながら読むことができる原作小説は、映画で表現された世界が好きな人にもおすすめです。田舎町の女子高生の三葉(みつは)は、自分が東京で暮らす男子高校生になる夢を見ます。一方、東京で暮らしている男子高校生の瀧(たき)も、田舎暮らしの女子高生になる夢を見るのです。やがて、2人は互いに入れ替わっていることに気がつきます。本来出会うことがないであろう2人は会えるのか。そして入れ替わりが起こった理由とは? 入れ替わりやタイムループなどが起こるファンタジーですが、読めばその世界にのめり込み、 2人の行く末にハラハラします。心が締めつけられる切ない青春ストーリーです。

『また、同じ夢を見ていた』/住野 よる著



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こちらは「紀伊国屋書店」のスタッフが全力を挙げてオススメする『キノベス! 2017』で上位にランクインした作品です。映画化された『君の膵臓を食べたい』の著者である、住野よるの話題作。友達がいない小学生の女の子 奈ノ花は、国語の授業で出された「幸せとは何か?」という問いの答えを探すなかで、三人の女性に出会います。リストカットを繰り返してしまう女子高生、人から「アバズレ」と罵られる女性、そして1人で余生を送る老婆。彼女たちの「幸せ」とは何なのか。そして奈ノ花は、問いの答えを見つけられるのでしょうか? 心が温まるお話は、「今」がうまくいかないアナタにおすすめしたい作品です。

『恋愛寫眞-もうひとつの物語』/市川 拓司著



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「ただ、君を愛してる」というタイトルで映画化された原作小説です。カメラマンを目指す大学生の瀬川誠人と、嘘つきでミステリアスな女子大生の里中静流。ふたりは写真を通して親しくなり、やがて静流は誠人を好きになります。でも誠人の心には別の人がいて…。そんなある日、突然、静流が消えてしまいます。嘘つきな静流の残した嘘とふたりの恋のゆくえはどうなるのでしょうか。映像が目の前に広がるような、描写と切ない読後感がすばらしいお話。ピュアな恋愛小説を読みたいときにどうぞ。

自分の知見を広げるビジネス書も面白いですが、小説を読むのも楽しいですよ。登場人物の姿から新たな気づきが生まれたり、心を強く揺さぶられたり…。日常から離れた想像の世界を堪能してください。