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もくじ

ー シリーズ1のなかでも希少な1300ジュニア
ー インテリアはシンプル 「ボートテール」に注目
ー シリーズ2「2000」の特徴
ー スパイダー2000 走りの特長

シリーズ1のなかでも希少な1300ジュニア

この記事のために提供してくれたデュエットは英国で古いアルファを扱う「クラシック・アルファ」のリチャード・ノリスが22年にわたって愛用してきたもの。きわめて希少な1300ジュニアで、シリーズ1のなかでもとくに魅力に満ちた1台だ。

2本スポークのステアリングや黒いフロントバンパーといったスペックダウン的な装備は、これが主としてイタリアの税制に対応するため生まれたモデルであることを示唆する。

右ハンドルのジュニアは280台足らずしか生産されなかった。実際のところ、もともとデュエットは英国では数が少ない。右ハンドル市場に向けた1600は約400台、1750は600台余りが作られただけである。

デュエットは1966年、105系ジュリアの人気を背景にデビュー。サスペンションの大幅な進化によってホイール・コントロールが改善され、リアアクスルはストロークを延ばしてよりしなやかに動くようになった。それでいて俊敏な身のこなしに妥協はなく、むしろ強調されている。

これは理屈に合うものだし、実際に乗ってもそうだ。

101系より全体に洗練された印象。サーボの付いた4輪ディスクのブレーキはスムーズで信頼できる。5速になったギアボックスは高回転を好むツインカムの能力を引き出しやすい。コーナーでのロールが減り、切り始めの重さに慣れてしまえばステアリングフィールも素晴らしい。もちろん細心の注意は必要だが、飛ばしたくなるクルマである。

ツインキャブが標準になったとはいえ、ジュニアのエンジンは1.3ℓ。本領を発揮するのは4000rpmを超えてからだ。さらに6000rpmを超えると、スムーズで力強くなる。言い換えると、小排気量ならではの楽しさなのだ。

だからといってこの90psのエンジンにはまったくストレスがないし、排気量の大きなロングストローク・エンジンを積むデュエットに比べて明らかにスムーズだ。その一方、低回転では驚くほどフレキシブルで、街中の渋滞も苦にしない。

インテリアはどうだろう?

インテリアはシンプル 「ボートテール」に注目

シリーズ1のインテリアはシンプルだが均整のとれたデザインだ。メーターは大きくて見やすく、シートはジュリエッタよりゆったりしたサイズ。フロアにはラバー製のマットを備える。

フロア側にヒンジがあるペダルは最初は奇妙な感覚だし、ペダル同士がやや接近しすぎているが、一方、ソフトトップは片手で簡単に開けられる。リアの長くて浅いトランクは週末に必要なすべてを収納できる大きさだ。

シリーズ1の「ボートテール」のリアスタイルは、ピニンファリーナが50年代半ばからショーカーで試していたもの。ロマンチックなデザインだったが、より合理的なカムテールのシリーズ2(もはやデュエットとは呼ばない)になってロマンスは失われてしまったと思う。

しかし、アルファが70年代に向けてスパイダーを苦もなく進化させ、さらに大きな成功を収めたのは注目すべきことだ。実際のところ、ただリアエンドを切り落としただけではない。

フロントウインドウを寝かせ、ドアウインドウのタンブル(内側への傾き)も強め、ドアハンドルはフラッシュサーフェスの洒落たデザインに変更されている。70年に登場したシリーズ2は1750だったが、翌年には134psの2ℓの2000がそれに取って代わった。

シリーズ2「2000」の特徴

ブライトンに住むジョン・ハニセットの赤いスパイダー2000は1996年にレストアされて以来、美しいコンディションを保っている。

彼は英国南部サリー州のバロンズ・オークションで、これを£11,500(255万円)で手に入れた。「メンテナンスさえしていれば、苦労はないクルマだ。何より大事なのは乗ることだね」とハニセット。

2基のブレーキサーボのせいでボンネットの下の眺めがデュエットより雑然としているが、いちばんの変更点はダッシュボードの構成だろう。手前に迫ってくるようなメータークラスター、深いコーン型のスポークのウッドリム・ステアリングは、1750と2000に共通するシリーズ2の特徴だ。

2ℓに拡大されたことと引き換えに高回転域の滑らかさが減ったが、低中速のトルクは太い。1750は4500rpmを超えてなお加速したがるのに対して、2000のパワーカーブはそこから上がフラットだ。とはいえ代償を実感することはほとんどない。

ゼロ発進加速の数字を云々言ってもあまり意味はないし、4速での50km/hから80km/hへの活気あふれる中間加速を体感すれば、おそらく得たもののほうが大きいと言うべきだろう。

中間加速やコーナリングはどうだろう?

スパイダー2000 走りの特長

中間加速は5速でさえも同じように力強い。ギアレシオはどんな状況にも対応できる設定だ。ずんぐりとしたコンソールから生えたシフトレバーはスムーズに操作できる。このギアシフトを面倒がる人はいないだろうが、2ℓのフレキシブルなトルク特性はゆったりとしたドライビングも可能にする。

緩やかで長いコーナーはスパイダー2000の得意とするところで、満足すべき安定したハンドリングを見せる。心地よいステアリングを通じて、あるいはリアアクスルを支えるT字アームの揺動から、ときとしてホイールがバタつくのを感じるが、不安になることはない。

タイトコーナーではリミテッドスリップ・デフがアンダーステアを消し、姿勢を保ってくれるのを感じることができる。

70年代半ばにアメリカの新しい法規がオープンカーを閉め出すかに思えたとき、アルファ・ロメオはそれを理由にスパイダーを打ち切ることもできただろう。しかもそれは72年にトランスアクスルレイアウトのアルフェッタが登場し、アルファのラインナップが劇的に変わろうとしていた時期だ。

にもかかわらず、依然として好調な販売を背景にスパイダーは生き延びた。英国での公式な販売は1978年で終わったが、1983年にフェイスリフトしたシリーズ3(通称アエロダイナミカ)が登場した。