親の介護施設を決めるときのポイントは?(写真:プラナ/PIXTA)

「5種類の高齢者施設」の何に注目すべきか

私は昨年、母を亡くしました。娘である私と、私の息子(母からすれば孫)とも仲がよく、よく食事も一緒にしていましたが、母は元気なときから「介護が必要になったら高齢者施設に入りたい」と言っており、実際に介護が必要になってからも、その思いは変わりませんでした。

高齢者施設もさまざまで、主に「5つの種類」があります。このうち、私たち親子が候補にしたのは、最期のときまで介護が受けられる「介護付き有料老人ホーム」です。


私は母のために、一緒に4つの介護付き有料老人ホームを見学しました。

特にチェックしたのは、「介護の質」です。入居者1人当たり何人の介護・看護職員が配置されているかは、施設によって異なります。介護保険では「入居者3人に対し、介護職員・看護職員1人」を人員配置基準としており、これを上回ると手厚い人員配置といえます。

また介護職員などの勤続年数が長いこと、ベテランと若いスタッフがバランスよくそろっていることが望ましいと考え、見学の際には質問しました。離職率が高い施設ということは働きにくいということであり、慢性的な人手不足になるようでは困るからです。また、スタッフの方が変わってしまうことで、慣れた頃に新しい人になると、本人は緊張もし、気も使うことになります。相性もあるでしょう。

ほかには、医療機関との連携があるか、入浴の体制(週何回、入浴できるかなど)、食事は施設で作った温かいものが提供されるか、外出は可能か、施設全体が清潔か、などをチェックしました。

入居後「要介護2」から「要支援1」へ体調が改善

最終的に選んだのは、ある社会福祉法人が運営する介護付き有料老人ホームで、とても満足できる施設でした。

大きなポイントになったのは、同じ敷地に特別養護老人ホームもあり、介護のノウハウが蓄積されていたことです。部屋や食堂などはどの施設も大きな差はありませんでしたが、そのホームは全体が清潔に保たれ、華美でなく、落ち着いた造りで、いい雰囲気でした。たまたま、日当たりのいい1階の居室が空いていたのも幸運でした。

見学の際に食事の試食もしたのですが、質もよく満足できる内容で、母も満足そうでした。また、自宅から車で約40分のところにあり、私たち家族が通いやすいこともポイントになりました。面会にも行きやすいですし、体調の急変など、何か問題があったときにも、遠すぎると大変です。

いい施設が見つかり、母は喜んで入居しましたし、面会に行くたび、機嫌もよかったといえます。不満や帰りたいという言葉も聞いたことはなく、施設のお世話になるという母の決意も、施設の選択も、正しかったのだと思います。

母は、「要介護2」で入所(支援・介護は全部で「7段階」。要支援1〜2、要介護1〜5とすると、要介護2は4番目=日常生活の動作が低下し、歩行や起き上がりなどに部分的な介護が必要な状態)しましたが、半年後には「要支援1」にまで回復し、ほとんど介護は不要な状態にまでなったのも驚きでした。外出も自由で、姉妹の家に遊びに行ったり、自宅に帰ってきたりもできました。そのことからも、「プロに任せるのもいい」と感じました。

約2年、施設で暮らし、母は旅立ちました。亡くなってから見つけた母の日記には、施設に入居する前の記述がありました。そこには施設に入居して新しい生活が始まることへの不安や、そこで生きてゆく決意のようなものがつづってありました。

施設入居をいやがっている様子はありませんでしたが、それなりに勇気や覚悟がいったことを知り、娘として複雑な思いがしたものです。しかし、入所後は体調もよくなりましたし、お友達もでき、趣味も楽しんでいた。心穏やかな日々を送ったのだと信じています。

読者の皆さんは、おカネがどの程度かかったのかお知りになりたいと思います。介護費用の一部負担金、光熱費、美容代や、お医者さんにかかった費用(内科や眼科など)すべて込みで、月当たり17万円程度。2年ほどでしたので、一時金を除いて400万円くらいでした。食費などの生活費から終日介護をしていただいてのこの金額なら、十分納得いくものだったと思います。

健康で快適に暮らせる施設に入りたい!

母のお話をさせていただきましたが、もし自分が介護を必要とする状態になったり、自分で身の回りのことをするのがしんどくなったりしたら、どこにどう暮らすか。そのときのことを考え、準備しておくことも大事な「終活」です。

私にも、皆さんにも、いつか自立した生活が困難になるときがきます。そのとき、どうするか。たとえば、自分のことはできても食事や掃除などが負担という状態になった場合。その場合はホームヘルパーさんなどを雇って家事を手伝ってもらおうと思っています。自宅での生活を続ける、ということです。

また、夫に先立たれて独りになる可能性もあります。その場合、ある程度の年齢になったら、身体が元気でも、有料老人ホームに入るかもしれません。なぜかというと、高齢になってから自宅(一戸建て)に一人暮らしは不安ですし、息子も心配でしょう。施設に入れば防犯面は安心ですし、「上げ膳据え膳」で暮らせたら、それはそれでいいかも、と思います。

私も将来、終(つい)の住処(すみか)として介護付き有料老人ホームを選択する可能性があります。母の体験を通じて、それはなかなかいい選択だと考えていますし、居心地がいい施設をしっかり選びたいと思っています。

最近、見学した施設の中ですばらしいと思ったのは、ソニー・ライフケアの介護付き有料老人ホーム「ソナーレ浦和」でした。見学して感じたのは、入居者の心身の健康と快適性が細部にわたって考えられていること。高齢になると睡眠に悩む人が多くなりますが、このホームでは睡眠から健康をサポートするため、ドイツ製の介護ベッドを採用、一人ひとりの体圧を測定してマットレスをカスタマイズするなど、医学的・科学的根拠に基づいて睡眠をマネジメントしています。

居室にも工夫が多く、洗面台は身体の状態に応じて高さが変えられるようになっていたり、トイレは左右どちらからでも介助できるように設計されたりしています。

また、食事は身体状況や生活のリズムに合わせて準備され、充実した内容。見学時に試食したランチ(入居者の方と同じもの)のメニューは麻婆豆腐で、ジャスミンティーのゼリー付き。

1回の経験だけですが、お世辞ではなく、高級な中華料理店でいただいているかのようなおいしさでした。刻み食、ソフト食のほか、フランス料理などで用いられるピューレやジュレなどの調理法を用いたケアフードを一部取り入れ、のどごしもよかったです。見た目にも美しい食事の提供を目指しているということでした。食べる場所に関しても、趣の異なる2つのダイニングがあり、入居者は毎回、気の向くほうで食事ができ、時間にもある程度、余裕をもたせてあります。


『ソナーレ浦和』のグランドダイニング(ソニー・ライフケア提供)

入浴は身体状況にかかわらず利用できる大浴場ほか、個浴室もあります。私の知るかぎり、施設では大浴場が普通であり、1人でお風呂が楽しめるのは、かなり魅力です。

人員配置は2:1で手厚い配置となっています。看護職員が24時間常駐しており、体調の変化も適切に対応してくれます。胃ろう、吸引・吸入、インシュリン注射、在宅酸素療法、疼痛の緩和といった医療ケアにも対応しています。作業療法士による各種リハビリも受けられるので、足腰の弱い方や、後遺症がある方にも心強いといえます。

あらかじめ「複数の施設」を見学しよう


冒頭で私の経験をお話ししたとおり、介護付き有料老人ホームだけでなく、高齢者向け施設の多くは事前の見学が可能です。入居する本人だけでなく、家族が見学したり、食事を試食したり(一般的には有料)などもできます。

共有スペースにレクリエーションを楽しむ入居者の方が集っていたり、入居者が描いた絵画などの作品が飾ってあったりと、見学に行くことで施設の雰囲気が感じられ、どんな暮らしができるか、イメージしやすくなります。さらに複数の施設を見ることで、どこがどのように違うか、自分や家族にはどんな施設が合っているかが少しずつ、見えてきます。体験入居ができる施設もありますから、利用するといいでしょう。もちろん、費用もとても重要ですから、見学の際には、その点についてもしっかり確認してください。

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