47歳になった今季も現役を続けることを決めたと語る折茂選手

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昨年9月22日のリーグ開幕戦が地上波でゴールデンタイムに生中継されるなど、華々しくスタートを切った男子バスケ「Bリーグ」。あれから1年がたち、いよいよ2年目のシーズンがスタートした。

プレーのレベルは上がったのか? 試合会場は盛り上がっているのか? 新リーグがつかんだ手応えと今後の課題について“レジェンド”折茂武彦(おりも・たけひこ)に聞いた!

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―いよいよ2年目のBリーグが開幕です。

折茂 新リーグが始まったことは価値あることですが、リーグを発展させ続けることはより大事なことです。今季も選手としても、クラブの代表としても頑張っていこうと思います。

―Bリーグ初年度で印象深かったシーンはありますか?

折茂 僕はファイナルのTV中継のゲスト解説をしたんですが、放送席から見えた景色は忘れられません。過去に見たことのないような演出や観客の盛り上がり…日本のバスケットが新しい時代に突入したんだと感じました。プレーオフも、どの会場も盛り上がっていましたね。

僕は、レバンガ北海道以前は“常勝軍団”といわれたチームに在籍していたので、ファイナルの解説をしながら「もし十何年早く、このリーグがスタートしていれば、あそこに立っていたのは自分だったのかな」と、ふと思ったんです。うらやましいな、悔しいなと。

そんな感情を抱いていることに気づいて、「待て。現役である以上、あの舞台を目指せるんだ」と思えたので、47歳になった今季も現役を続けることを決めました。

―Bリーグが始まってよかったのはどんな部分?

折茂 バスケットのプロ選手になりたい子供たちにとって、目指す場所が明確になったことは大きいと思います。それまでふたつあったリーグが統一され、国内最高峰と胸を張れる新リーグが生まれ、現役のBリーグ選手はもちろん、Bリーグを目指す中高生などのモチベーションも非常に高まったと感じます。

金銭面の話をすれば、かつて僕は日本リーグの企業チームに所属して、リーグ最高年俸をもらっていました。「アマチュアなのに、こんなにもらえるのか」という金額でしたが、現在はその額を超える選手が何人もいます。モチベーションが高まるのも当然です。

―なるほど。

折茂 ホーム&アウェーという感覚が色濃くなったのも、選手のモチベーションを向上させていると思います。大声援を送ってくれる地元ブースター(ファン)がいるホームゲームでは、選手はおのずと「この人たちのために勝たなければ」と思いますからね。

―Bリーグ1年目を終え、選手個々のプレーレベルは上がったと思いますか?

折茂 試合数が格段に増えたこともあり、確実にBリーグが選手の成長に貢献していると思います。そもそも近年、技術的にスペシャルにうまい日本人選手が増えているのは間違いないですし。

―頼もしいですね。

折茂 ただ、技術もバスケIQも高いのに、個性や華がある選手は以前のほうが多かったのかなとも思います。強烈な個性がある選手、「こいつはちょっとヤバい」という選手が減った。今、「こいつはガツガツやるな」と思うのは、富樫勇樹(千葉ジェッツ)くらい。ああいう選手はファン目線で見ていて面白いですよね。

でも、富樫にバッチバチに噛(か)みつくヤツが出てこないとダメ。「おまえには絶対にやられたくない」という感情をコート上で表現する選手が、もっと出てきてほしいです。

―懐古主義なのかもしれませんが、確かに以前のほうが強烈な個性を持った選手は多かった気はします。

折茂 でも、だからって「俺らの時代はこうだった」とか、若手の選手に言うつもりはないです。どんな選手になりたいかは選手自身が決めるべきだし、曲がりなりにも僕は現役選手なんで「俺が若い頃は」なんて昔話は死んでもしたくない。同じ時代を生きているライバルだと思っているんで。

―では、今のBリーグに点数をつけるなら何点?

折茂 まだ点数で評価できる段階ではないんでしょうけど、あえてつけるなら50点。

―厳しい採点ですね。

折茂 誰かが現状に合格点をあげたら「は?」って思いますし、かといって0点をつけられたら、「そうじゃないよ」と反論したくなるんで、これくらいかなと(笑)。

もちろん、Bリーグがスタートしたことに価値はありますが、まだヨチヨチ歩きを始めたばかりの新リーグなので、問題が山積しているのは間違いありません。リーグも、クラブも、選手も危機感を持っていかなければいけないのが、偽りのない現状だと思います。

◆『週刊プレイボーイ』42号(10月2日発売)「2年目シーズン開幕! バスケ『Bリーグ』大特集!!」より

●折茂武彦(おりも・たけひこ)

1970年生まれ、埼玉県出身。埼玉栄高、日大を経て、93年にトヨタ自動車(現アルバルク東京)に入社。07年、新設チームに移籍するも運営会社の撤退により、自ら「レバンガ北海道」を創設。日本代表としても数々の国際大会を経験している。ポジションはシューティングガード。昨年11月には日本リーグ時代からの通算で9千得点を達成。190cm、77kg

(取材・文/水野光博)