杉田水脈公式ウェブサイトより

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「小池百合子は、衆院選に出馬するのか?」「民進と希望の合流は、どうなるのか?」

 マスメディアが小池百合子・希望の党代表の一挙手一投足に踊らされるなか、本サイトは、その正体がヘイト思想の持ち主であり、歴史修正主義の、極右だと指摘、民進党との合流についても強く批判してきた。

 だが、その小池劇場の影で、安倍自民党も負けず劣らずのグロテスクな極右の本性を剥き出しにしている。

 なんと自民党はこの衆院選に、あの極右政党・日本のこころ(当時・次世代の党)の元衆院議員である杉田水脈氏を、公認候補として立てるというのだ。

 杉田氏自らが、9月29日夜、〈急な解散に伴い、複数の政党より出馬の要請を受けておりました。が、この度、自民党からの出馬が決定いたしました〉とツイートし、明かした。

 たしかに、安倍首相を筆頭に安倍政権幹部の多くが、極右思想の持ち主であり、在特会をはじめとするレイシストとも親和性が高いことは、本サイトでも何度も指摘してきたとおり、重々わかっていたことではある。とはいえ、曲がりなりにも長年政権を担ってきた政党が、よりにもよって、杉田水脈氏のような人物を公認とは、正気なのだろうか。

 というのも、杉田氏は9条改憲、愛国教育推進、歴史修正主義、男尊女卑、ヘイト肯定という、バリバリの極右レイシストだからだ。

 有名なのが、議員時代の2014年10月の国会での、「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」との暴言だ。この答弁でネトウヨから絶賛された杉田氏だが、さらに「週刊プレイボーイ」(集英社)でのインタビューでは、日本に男女差別は「ない」と断言。「あるとすれば、それは日本の伝統のなかで培われた男性としての役割、女性としての役割の違いでしょう」「(基本的人権が守られている上に)そこにさらに女性の権利、子供の権利を言い募ると、それは特権と化してしまう」との驚くべき前近代的主張を展開した。また、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念とする国連の女子差別撤廃条約についても、〈重大な女性差別が存在しない日本には必要がない〉(「正論」産経新聞社2016年5月号)と主張している。まさに"女性の敵"である。

 だが、言うまでもなく、いま日本が直面している子どもの貧困や待機児童の問題、あるいは少子高齢化の背景には、長く続く不況による収入の減少や、社会保障の不備による将来への不安、長時間労働の問題とならび、出産後の職場復帰が他の先進国と比べて難しく社内の人事などにおいても根強い女性差別、育児は母親だけが担うべきという旧来的なジェンダー観などがある。現実問題として女性を取り巻く社会環境の向上は急務のはずだが、「男女平等は絶対に実現しえない反道徳の妄想」という杉田氏にとってはどうでもいいことなのだろう。

 いや、それどころか実際、杉田氏はもっと女性や育児に冷徹な言葉を平気で吐いている。たとえば「保育園落ちた日本死ね」ブログが話題になった際には、〈「保育園落ちた」ということは「あなたよりも必要度の高い人がいた」というだけのこと。言い換えれば「あなたは必要度が低いので自分で何とかしなさい」ということなのです〉と自己責任論で突き放したと思えば、続けて驚くべき電波的妄想を開陳。なんと、待機児童問題を"コミンテルン陰謀論"にすり替えたのである。

〈子供を家庭から引き離し、保育所などの施設で洗脳教育をする。旧ソ連が共産主義体制の中で取り組み、失敗したモデルを21世紀の日本で実践しようとしているわけです〉
〈旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります。その活動の温床になっているのが日本であり、彼らの一番のターゲットが日本なのです。
 これまでも、夫婦別姓、ジェンダーフリー、LGBT支援-などの考えを広め、日本の一番コアな部分である「家族」を崩壊させようと仕掛けてきました。今回の保育所問題もその一環ではないでしょうか〉(産経ニュース16年7月4日)

 ちょっとヤバすぎて困惑するが、とりあえず、女性の社会進出や待機児童問題を"コミンテルン陰謀論"で語ってしまうような人を本当に国会議員にしていいのか、とだけは言っておこう。逆に言えば、こんな"女性の権利を主張してはならず、家庭にいるのが女性の役割""コミンテルンが日本の「家族」を崩壊させようとしている"などと主張するトンデモな人物を擁立することこそ、安倍自民党の「女性の活躍」や「待機児童ゼロを目指す」などという政策がハリボテであることの証左である。

 もっとも、杉田氏がヤバいのはその男尊女卑思想やコミンテル陰謀論だけではない。杉田氏はバリバリのヘイト政治家でもある。本人は「在特会とは全く関係ありません」などと言っているが、実のところヘイト系の関連団体や人物と共に活動を行なってきた。

 たとえば杉田氏は「なでしこアクション」という極右団体が主催する集会に参加しているのだが、その代表の山本優美子氏は元在特会の幹部。後述するが、その山本氏と仲良く国連の女子差別撤廃員会などに出かけ、慰安婦問題を否定する活動に邁進している。また、13年には大阪・鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを先導したヘイトデモに協力した在特会関連団体「そよ風」とも交流、メンバーと仲良く写真に収まっている。

 こうした関係性だけでなく、杉田氏はヘイトスピーチについて無茶苦茶な持論を展開している。たとえば、14年衆院選時の街頭演説では「私はヘイトスピーチは日本には存在しないと思っています」「日本人だったらヘイトスピーチをやる人はいない」「だからヘイトスピーチの法案については特に必要ない」などとがなりたてた。実際にヘイトスピーチやヘイトクライムが社会問題化するなか、「ヘイトスピーチはない」とほざくのは、それこそ差別を野放してそれを肯定していることに他ならない。

 また「産経ニュース」16年9月6日付では、白々しくも「一貫してヘイトスピーチに反対し続けている」と言いつつ規制に大反対。〈ヘイトスピーチを告発する勢力は、「慰安婦=性奴隷」だと流布してきた勢力と同根〉〈慰安婦問題とヘイトスピーチをこじつけて日本を貶めようとする勢力にどうすれば打ち勝てるか、考えるほうが先〉などと主張したうえで、〈必要なのは教育の正常化です。日本の教育現場に「教育勅語」を復活させれば、そのような(引用者註:ヘイトスピーチをする)人間は育たないと思います〉というトンデモな結論をぶった。

 さらに、自身ブログでは、2016年2月、ジュネーブの国連女子差別撤廃委員会の関連に出席した人々について、〈目の前に敵がいる! 大量の左翼軍団です〉と書いたうえで、〈ハッキリ言って"小汚い"なんでこんなにきたない人ばっかりで集団を作れるのか不思議です〉〈国連の会議室では小汚い格好に加え、チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります〉などと罵倒。朝鮮文化やアイヌ文化に対する剥き出しの民族蔑視にヘドが出るが、杉田氏は〈とにかく、左翼の気持ち悪さ、恐ろしさを再確認した今回のジュネーブでした。ハッキリ言います。彼らは、存在だけで日本国の恥晒しです〉などと結んでいた。

 こうした杉田氏の行動・発言からわかるのは、つまり、この人が男尊女卑や外国人・マイノリティ差別、さらには反日工作員なる妄想や「左翼」への並々ならぬ憎悪をごっちゃ混ぜにしたトンデモ極右だということに他ならない。しかも、杉田氏が悪質なのは、ただトンデモというだけでなく、実に、歴史修正主義のために"爆破テロ"まで推奨するような過激思想の持ち主だからだ。

 そもそも、杉田氏が一番血道を上げてきたのが、先に触れたように、慰安婦問題などを否定する歴史修正運動の国際版、産経が言うところの「歴史戦」である。

 議員時代、国会で河野談話の撤廃と河野洋平・元内閣官房長官の参考人招致を要求した杉田氏だが、議員落選後には、前述した「なでしこアクション」代表の山本氏や、幸福実現党党首の釈量子氏などとともに、国連の女子差別撤廃委員会のセッション前ワーキングミーティングに出向き"慰安婦問題は歪められている!"と主張。しかも、櫻井よしこ氏曰く、この杉田氏らの国連に対する訴えが、同本会議で外務省の杉山晋輔・外務審議官(当時。現・事務次官)が"従軍慰安婦の強制連行は吉田清治氏による捏造""強制連行はなかった"という旨の発言をする「きっかけ」(産経新聞16年2月1日)となったという。

 こうした"実績"で極右やネトウヨ界隈からおだてられ気を良くしたのだろうか。杉田氏は、慰安婦問題を象徴する少女像に対しても「反日」と罵る攻撃を強めているのだが、昨年出した作家の河添恵子氏との共著『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)のなかで、"少女像を爆破しよう。恐れて作られなくなる"なる剥き出しのテロルを扇動すらしてみせたのである。

 同書ではまず、川添氏が少女像について、「ロシアのプーチン大統領なら、しれっとした顔で指示するはず。『撤去せよ』とね。それで誰かがある日、ブルドーザーか何か重機でガーッ、バーッと手荒に撤去しちゃう」なることを言い出すのだが、それに対して杉田氏は「やりに行こうかな(笑)」と同調。この時点で驚きだが、続けてこんな発言をしているのである。

「アメリカもそうですが、慰安婦像を何個建ててもそこが爆破されるとなったら、もうそれ以上、建てようとは思わない。建つたびに、一つひとつ爆破すればいい」

 読んで字のごとく、完全に爆破テロを推進している。異常としか言いようがない発想だが、杉田氏の爆破テロ発言を受けた河添氏も「住民も危険だからって皆、慰安婦碑の建設に反対してくれる(笑)。誰も近寄らなくなりますしね」とノリノリなのだ。

 念のため大真面目に言っておく。実行すれば国内法では激発物破裂罪にあたり最高刑は死刑である。ケースによっては殺人罪やその未遂罪、過失致死傷罪にあたる可能性もある。いずれにせよ、端的に言って重犯罪であり、目的から鑑みて「テロ」と断じざるを得ない。

 まったく、目眩がしてくるではないか。

 そして、確認しておくが、こんなトンデモな人物を、政権与党である自民党が公認し、衆院選に送り出すというのである。しかも、杉田氏はTwitterで、希望の党からのラブコールを断ったうえで自民党からの出馬を決断したと言っているが、どうやら、杉田氏を熱望したのは、実に安倍首相その人らしいのだ。

 実は、杉田氏出馬について、9月29日の本人のツイートよりも少し前に放送されたインターネットテレビ『言論テレビ』で、ゲストにネトウヨ作家の百田尚樹氏を迎えた主宰の櫻井よしこ氏がこんなふうに語っていた。

「安倍さんがやっぱりね、『杉田さんは素晴らしい!』って言うので、萩生田(光一・自民党副幹事長)さんが一生懸命になってお誘いして、もうちゃんと話をして、(杉田氏は)『自民党、このしっかりした政党から出たい』と」

 爆破テロまで扇動する極右人士を「素晴らしい!」とベタ褒め......これが日本の首相の正直な姿らしい。これだけでも開いた口が塞がらないが、さらに続けて櫻井氏はこんな出馬の裏事情を明かした。

「小池百合子さんからも『来てちょうだい』って言われて。でも杉田さんは『嫌です!』って断ったんです。中山恭子さんからも言われて『もう堪忍してくださーい!』って」

 なんと、このトンデモ極右レイシストを、自民党と希望の党が両腕を引っ張り合うかたちで取り合っていたというのである。実際、杉田自身も、冒頭紹介した出馬宣言ツイートに続けて、〈今まで育てていただいた中山恭子先生からは希望の党からのお誘いをいただきましたが、「自民党にお嫁に行かせてください」とお願いいたしました〉とツイート、次世代の党のころからの同志で、先日、希望の党へ参加した中山恭子参院議員から希望の党へ誘われていたことを明かしている。

「自民党にお嫁に行かせてください」という言い回しの気持ち悪さもさることながら、杉田水脈氏を自民と希望が取り合ったという事実から明らかなのは、両者がどんなに対立構図を演出しようとも、安倍自民党と小池希望の党が、その極右ヘイト体質において、まったく違いがないということだ。

 ハッキリ言って、欧米のまともな民主主義国であれば、このような人物が所属しているというだけで徹底批判を浴びるだろう。そんな人物を、政権与党と首都の首長率いる注目新党が取り合うーーこの国の政治状況はいよいよ行き着くところまで行ったと感じずにはいられない。

 しかも問題なのは、そのふたつの政党をマスコミは"選挙の主役扱い"する一方、こうした両党に共通する極右ヘイト体質についてほとんど指摘していないことだ。これが、フランスのルペン氏などのように海外の事象であれば、「極右の台頭」などと報じているのではないだろうか。

 いずれにせよ、我々有権者は、ワイドショー的な選挙の旋風や選挙用の美辞麗句に騙されることなく、立候補者ひとりひとりの過去の発言もふくむ態度と思想を検証し、その政党が本当は何を考えているか見極めなければならない。少なくとも、テロや戦争の脅威を自ら煽って政治利用しておきながら、その実、爆破テロを推進するような政党なんぞに、この国の未来を任せられるはずはない。
(編集部)