水爆実験を決定した朝鮮労働党政治局常務委員会に参加した金正恩氏(2017年9月4日付労働新聞より)

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9月23日午後5時半ごろ、北朝鮮北東部で地震が発生したとの報を受け、「また核実験か!」と驚いた読者も少なくないだろう。後日、以前の核実験の影響で発生した自然地震だと結論付けられたが、情報が得られていない北朝鮮の人々の中には、未だに核実験だと思っている人が少なくないという。

「金正恩が死んだ!?」

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋もその一人だ。情報筋は次のように述べた。

「23日午後5時(平壌時間、日本時間では午後5時半)に豊渓里(プンゲリ)で核実験が行われたようだ。農村支援に行っていた人びとも揺れを感じて皆一様に核実験だと思った」

「核実験」だと判断した根拠のひとつとして、情報筋は時間的なタイミングを挙げた。「翌日は日曜日で、朝からテレビの放送をする日だから」だという。実験を終え、その結果を報道し、プロパガンダを行なうまでの時間を計算するとちょうどいい時間だったというわけだ。

しかし、核実験を行ったのに政府は何ら発表を行わないので、情報筋は「実験は失敗したものと思っている」と述べている。このような噂が吉州と清津(チョンジン)を中心に広がっている。

当局の極端な秘密主義と、外部情報の流入の少なさのせいで、北朝鮮ではこういった間違った噂がよく流れる。

過去には、核実験を発表する「特別重大報道」が予告されると「金正恩氏が死んだのではないか!?」と早とちりした人もいた。また、核実験のせいで北朝鮮最高峰の白頭山が噴火するのではないか、との噂も流れている。もともと地震のない国でもあり、さらには建物の手抜き工事が横行していることもあって、多少の揺れにも人々は敏感にならざるを得ないという事情もある。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、現地では一般住民はもちろん、幹部ですら核実験が行われたと思い込んでいるとのことだ。この情報筋は、夜になって聞いた韓国のラジオで揺れが自然地震によるものだと知ったが、まだ知らない人も多いという。

このような情報のタイムラグが生じるのは、北朝鮮特有の事情による。

北朝鮮では、この情報筋に限らず、韓国や米国のラジオ放送で情報を得ている人が多いが、海外の情報に触れることは違法行為であり、バレたら命に関わるため、おおっぴらに聞くことはできない。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

また、中波(AM)の特性上、夜にならなければ電波が遠くに届かず、聴取できないという事情もある。

韓国の公共放送、KBSが北朝鮮向けに行っている韓民族放送は、午前9時から午後1時まで放送を休止する。最高で1500キロワットという世界でもまれに見る強力な空中線電力で発信しており、平壌以南では昼の時間帯でもクリアに聞こえるが、以北では夜にならなければうまく聞こえないため、午前中の放送はやらないというわけだ。