拷問や死刑を根絶するにはどうしたらいいのか(写真:bee/PIXTA)

電気ショックベルトや金属スパイク付きの棍棒(こんぼう)、親指を締め上げ電気ショックを与える拷問器具……。いかなる拷問も国際法で禁じられているにもかかわらず、こうした器具は今も製造され、世界中で売られている。

同様に、死刑廃止国が増加する一方、致死薬注射システムや電気いす、ガス室などはいまだに市場に出回っている。死刑には立証された犯罪抑止効果がないにもかかわらず、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによれば、全世界で1.9万人近くの死刑執行が控えている。

拷問器具の輸出を禁止に

国際社会が本気で拷問と死刑の根絶に動くなら、高邁な誓いを立てるだけでは不十分だ。死刑執行や拷問に使われる製品を入手困難とする具体的行動が必要である。

この商取引を止めるための国際的枠組みが9月18日、国連総会で発足した。新設された「拷問に関与しない貿易のための国際的提携」の加盟国は、関連製品の輸出を禁じ、税関での取り締まりも強化することになる。

協定はアルゼンチン、欧州連合(EU)、モンゴルが主導している。中でも死刑廃止に向け、積極的な役割を演じているのがアルゼンチンだ。EUも規制を強化し、死刑執行および拷問に使用される製品の取引を昨年、全面禁止した。モンゴルは2015年に死刑を廃止。周辺の多数の国で拷問や死刑執行が当たり前に行われている中、模範を示した。

各国単独の取り組みには限界がある

規制強化の効果はすでに表れている。だが、各国単独での取り組みには限界がある。この種の製品を製造・売買する業者は、各国国内法の網を逃れるべく、取引手法やルートを変えている。規制を真に効果的なものとするには、多くの国が協力し合う必要がある。

確かに、拷問や死刑を根絶するには、貿易の枠を超えた広範かつ長期の取り組みが必要だ。だが、われわれは貿易に焦点を絞ることで変化を生み出そうとしている。

通商政策はカネだけの問題ではない。人権擁護のための強力なツールでもある。拷問や死刑の道具がほかの商品と同様に売買されるのを、決して許してはならない。