ハリケーン「マリア」の被害を受けたプエルトリコのラレスで、地滑りによって公営墓地から流されたひつぎ(2017年9月30日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は9月30日、ハリケーンに直撃された米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)が「自分たちのためになんでもやってもらうことを望んでいる」と非難した。甚大な被害を受けたプエルトリコでは連邦政府による支援活動の遅れへの批判が高まっている。

 壊滅的なハリケーン・マリア(Maria)の直撃後、プエルトリコでは現在も島の大部分で電力や通信手段が使えず、飲料水もない状態に置かれている。30日も島内各地でいまだに連邦政府や自治領政府による支援活動がみられないという報道が続いている。

 プエルトリコの中心都市サンフアン(San Juan)のガソリンスタンドでは数時間待ちの長い車の列ができた。一部のガソリンスタンドでは民間警備員がパトロールしているという。島の内陸部では住民たちが、ハリケーン後に初めて見た島外から来た人は報道陣だと話した。住民のエリサ・ゴンサレス(Elisa Gonzalez)さん(49)は、「FEMA(米連邦緊急事態管理庁)や連邦政府、他の誰からも支援がない」と語った。

 しかしトランプ大統領は30日、ツイッター(Twitter)に数回投稿し、連邦政府の緊急チームや、数十隻の船舶と約1万人の兵士をプエルトリコに派遣した米軍は「素晴らしい」活動を行っていると主張し、プエルトリコがハリケーン被害に苦しんでいる責任を民主党やメディア、自治領政府に負わせようとした。

 プエルトリコの中心都市サンフアン(San Juan)のカルメン・ユリン・クルス(Carmen Yulin Cruz)市長は、「私たちはここで死にかけている。世界で最も偉大な国がなぜ小さな島のための物資輸送のやり方を考え出せないのか理解できない」と批判。その後トランプ大統領は米ニュージャージー(New Jersey)に所有する高級ゴルフリゾートから次のようにツイートした。

■大統領のツイート、対立あおる恐れも

「ほんの数日前にはお世辞を言っていたサンフアン市長は、いまや民主党員からトランプに意地悪く当たれと言われている」

「コミュニティーが努力すべきときに、彼らは自分たちのためになんでもやってもらうことを望んでいる。1万人の連邦職員がいまあの島で素晴らしい仕事をしている」

 これらのツイートは感情的な対立を一層あおる恐れもある。

 カリブ海(Caribbean Sea)を直撃したハリケーンによる悲劇よりも、トランプ大統領がナショナル・フットボールリーグ(NFL)の抗議行動に関心を寄せているという批判を受けた米ホワイトハウス(White House)は30日、トランプ大統領は今月3日に予定されているプエルトリコ視察を待たず、30日中にプエルトリコの複数の当局者に電話をかけると発表した。

一方、クルス市長に比べ連邦政府の対応への批判を控えているプエルトリコのリカルド・ロセジョ(Ricardo Rossello)知事は30日、援助活動に関するブリーフィングを行い、FEMAが島の全域、特に病院に燃料を届けるべく懸命な努力を続けていると述べ、営業可能なガソリンスタンドは過去4日間で450か所から714か所に増えたと明らかにした。同知事室によるとFEMAはこれまでに飲料水250万リットルと非常食200万食を届けたという。

 ツイッターでのトランプ大統領とクルス市長の批判合戦について聞かれたロセジョ知事は、「これ(支援活動)が成果を上げるようにする唯一の方法はわれわれが協力することだ」とのみ語った。
【翻訳編集】AFPBB News