<記者コラム:オトゴト>
 米ロックバンドのリンキン・パークが26日に、自ら命を絶ったフロントマン、チェスター・ベニントンさんが生前、ライブ前のステージ裏でオリジナルソングを歌っている姿を映した動画をTwitterで公開。バンドは「いつもチェスターは我々を笑わせてくれた。その思い出を大事に胸にしまっている。これは大好きな一幕」とコメントしている。

 チェスターさんは、7月20日にカリフォルニア州の自宅で亡くなっているのが発見された。享年41歳だった。

 21日には、チェスターさんの妻・タリンダさんが、彼が命を絶つ36時間前の動画をSNSに公開。笑いながら家族との時間を過ごす彼の姿に対し、「チェスターが亡くなる36時間前、私たちにはうつ病がこのように映っていました。彼も私たち家族も、とても愛し合っていました」と、うつ病が表面的に分かるものではないと訴えている。

 今年5月にはサウンドガーデンのクリス・コーネルさんもデトロイトでの公演を終えた直後、自ら命を絶った。チェスターさんは彼の死に哀悼の意を表していたが、彼が自殺した日はクリスさんの誕生日だった。

 リンキン・パークはチェスターさんの追悼コンサートを10月27日にロサンゼルスのハリウッド・ボウルで開催する。

 思えば、ロックスターと自死の関係は根深い。90年代にはニルヴァーナのカート・コバーンさんが拳銃自殺。80年代には英ロックバンド、ジョイ・ディビジョンのイアン・カーティスさんが自殺。自殺かどうか定かではないが、70年代にはジミ・ヘンドリックスさん、ブライアン・ジョーンズさん、ジャニス・ジョプリンさんと、多くのスターたちが20代という若さで急逝している。彼らの多くが薬物依存で苦しんでいたことからも、ステージに立ち続けることの重圧は如何ばかりかと窺がえる。

 彼らの音楽によって救われた人々がどれだけいるか、そう考えるだけでも彼らの死はとても痛ましい。彼らもスターである前に一人の人間であることを思い知らされるが、その当たり前の事実を考えることが、悲劇を繰り返さないための一歩として必要なのではないか。【松尾模糊】