北朝鮮と国境の川を挟んで向かい合う中国遼寧省の丹東市。国連安全保障理事会の制裁決議を受けて、現地で働いていた北朝鮮労働者が続々と帰国の途についていることはすでに伝えたが、その傾向がさらに強まっている。

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市内の繊維工場で北朝鮮労働者の管理を行っている担当者は、デイリーNKの取材に次のように答えた。

「最近まで、北朝鮮労働者300人が働いていたが、制裁のせいで170人が契約を解除され帰国させられた。今残っているのは130人だが、彼らもまもなく帰国させられるだろう」

中国政府は、国連安保理で採択された制裁決議2371号の履行の一環として、北朝鮮労働者の就労ビザ延長を不許可とした。

丹東市内の繊維、食品加工工場、冷凍倉庫では5000人から7000人の北朝鮮労働者が働いているが、当局の担当者は工場を回って契約を解除せよと圧力をかけている。そのため、工場も従わざるを得ない状況だ。

それも、わずか1ヶ月前に来たばかりの労働者も半ば強制的に帰国させられるほどの徹底ぶりだ。

契約が解除されると同時にビザも失効となるため、数日以内の出国が求められる。 仕事の量そのものは減っていないので、残りの労働者ですべてを処理しなければならず、長時間労働を強いられている。

前述の管理者は、300人が1ヶ月に稼ぎ出す外貨は4万5000元(約76万3000円)に達し、それで朝鮮労働党への上納金を納めていたが、労働者が半分以下となり、ノルマが達成できそうにないと嘆く。解決方法もなければ、北朝鮮当局からの指示もない。

対北朝鮮情報筋によると、北朝鮮労働者が中国で働くには担当者に数百ドルのワイロを掴ませていたが、それは闇金業者からの借金だ。1年間働くと上納金などを差し引かれても1万2000元(約20万4000円)が得られるため、それを返済に当てていたが、帰国させられたら立ち行かなくなる。

頭を抱えているのは地元企業も同じだ。

中国の達内教育網によると、丹東の平均月給は4080元(約6万9000円)。大連の4610元(約7万8000円)や北京の6906元(約11万7000円)と比べるとかなり低い。その割には物価が高く、暮らしが楽ではないと言われている。

そのため、より多い収入と暮らしを求めて丹東を出て行く人が増えている。丹東にはこの2年で1万3400人が転入したが、2万3600人が転出し、1万200人の転出超過となっている。(丹東市統計局調べ)その分、人手不足に拍車が掛かるというわけだ。