悩む夫婦

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おもに母親が育児や家事を一手に引き受けざるを得ない状況を意味する「ワンオペ育児」。そもそもはブラック企業のワンオペ(ワンオペレーション)になぞらえて、ネット上で生まれた言葉だ。

長時間労働をはじめとした過酷な労働環境や、「育児・家事は女性の仕事」という旧来の価値観など、その背景にはさまざまな要因が複雑に絡まりあっている。もちろん、個人の意思だけでどうにかできる問題ではないが、では「仕方がない」と諦めるばかりでは何の解決にもつながらない。

社会の構造を変えることはできなくても、ワンオペ育児のつらさ、大変さを夫婦で共有するためにできることはきっとあるはず。ママ向けの子育て講座などを開催しているファインコーチングの山崎洋実さんは言う。

「何よりも大切なのは夫婦間のコミュニケーションです。そのためのポイントは2つ。まず、ひとつめは“見える化”です。家事や育児がどのように大変なのか、それぞれの作業にどれくらい時間がかかるのかを目に見える形に可視化することから始めてみましょう」(山崎さん 以下同)

●家事にかかる時間を紙に書き出す

例えば、こんな風に家事や育児それぞれのタスクの作業時間を振り返ってみよう。

授乳……1回10〜15分

おむつ替え…1回3分×5回(1日分)

保育園の準備…5分

夕食の支度…30分

お風呂に入れる…20分

このほかにも、「泣き出した赤ちゃんをあやす」「イヤイヤ期のワガママにつきあう」などイレギュラーなケースも子育て中は多々あるはず。一つひとつの時間は短くても、積み重なれば1日の労働量はかなりもものになるはずだ。では可視化の結果をどのように活かせばいいのだろう?

●シェアしてもらうことを明確に伝える

「状況を可視化することで、パートナーにどこをどう手伝ってもらいたいのか、が明確に見えてくるはずです。次のステップはそれをシェアすること。『この作業が大変なので、あなたにもちょっと手伝ってほしい』と具体的なお願いとしてパートナーに提案してみましょう」

この“シェアすること”がワンオペ育児のつらさを理解してもらうための2つめのポイントだ。もちろん、いきなりきっちり分担することは難しいだろう。だが、お互いの働き方に合わせて「食器洗いはお願い」「洗濯物の取り込みだけやって」と負担を分かち合える部分が見つけられるはずだ。

「妻が家事・育児をメインで担っていると、男性側は『何をやっていいかわからない』となってしまう人が多いんです。それで、ちょっともたもたしていると結局は妻が『私がやったほうが早い』となってしまう。そうなるとワンオペ構造からなかなか抜け出すことができません」

まずは家事・育児を「見える化」して、シェアできるポイントを夫婦で話し合う。それがきっとワンオペ育児から抜け出すための最初の一歩になるはずだ。社会の構造はすぐには変えられないが、夫婦の関係は努力次第で必ず変えられるのだから。

(取材・文:阿部花恵 編集:ノオト)

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