システム開発の「全体像」をザクッと押さえておこう

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「思いがけず情報システム部門に配属されてしまった」
「本業でいっぱいいっぱいなのに、新規プロジェクトにアサインされ、膨大な時間とられてうんざり」
「専門用語もITのしくみも、正直、意味がわからない」

企業がITビジネスをどんどん広げていく傾向にある中、そんな悩みを抱える人が増えているようです。

そこで、かつてない「システム発注者のための入門書」として注目を集め、発売早々連続増版を重ねている『システムを「外注」するときに読む本』の著者が、「知識ゼロ」からでも、自社に貢献するIT企画や要件定義ができて、失敗率の高いIT導入を無事成功させることができる、実践的な知識とスキルをお伝えしていきます。

ITシステム開発の流れを
「5分」で理解する

もし、あなたがIT企業に勤めているわけではなかったとしても、ITに関するスキルや知識は、会社に大きく貢献し、自分自身のキャリアアップに役立つ有効な武器になります。

会社の売上を伸ばしたりコストを削減するITシステムの企画や導入に寄与できる社員は、場合によっては数億、数十億の売上をもたらす社員に匹敵する価値を持つ存在です。ITの知識は、今や英語や会計、法律などと並んで、重要なビジネススキルの1つなのです。

でも、安心してください。その際に必要となるITスキルは、難しいプログラムや設計書を書いたり読んだりできるといったものではなく、私のような超文系人間でも身につけることができるものです。

今回はまず、そもそもITの導入とはどんなふうに進めていくのか、その大まかな段取りを簡単にご紹介したいと思います。

IT導入といっても、最初からプログラムを組むわけではありません。
都合の良さそうなクラウド業者を探して、「あと、よろしく」と言えば済むものでもありません。
その前にも、後ろにも、実施しなければならない工程があります。

古典的なITシステム導入の段取りを図にすると、下のようになります。

この工程は「ウォーターフォール方式」と言われます。現在は、これ以外にも「アジャイル方式」や「プロトタイプ方式」などさまざまなやり方がありますが、まずは、最も基本的なこの方式で説明したいと思います。

それでは、簡単に、それぞれの工程で何をするのかを見ていきましょう。

【図:ウォーターフォール方式の一般的な5つのステップ】

(1)要件定義
システムを導入する際には、まず「導入するシステムにどんな機能を持たせるのか?」「どんな性能や使い勝手のモノを導入するのか?」を検討する必要があります。

とはいえ、いきなり「システムの機能」と言われても、何をどうするのか、よくわかりませんよね。

要件定義では、まず「今の業務をどう変えたいのか?」を考えます。たとえば、社内の経費精算プロセスがどうも遅い。原因を調べたら、管理職による決裁処理に時間がかかっていることがわかった。ここをなんとか早くできないのか、といった「課題」を見つけるわけです。

そして、その課題の解決策を考える中で、「ここはコンピュータにやらせるのがいいだろう」という部分を絞り込んでいきます。上司の決裁が遅いのならば、決裁にあたって必要な書類があるかとか、記述漏れがないかなどということはコンピュータにやってもらって、上司は本当に頭を使うところだけ見てもらうようにしよう、といった方針を立てるのです。

そこまで済んだら、「じゃあ、コンピュータは何をすればよいのか?」を考えます。

上の例でいえば、「必要書類のチェックをする」「記述漏れ・誤りがないかを検査する」といったことをコンピュータの機能として定義します。これを「機能要件」と言います。

機能要件以外にも、処理速度やシステム内に溜め込むことのできる決裁書類の量などの「性能」も考える必要があります。こういう機能以外の要件を「非機能要件」と言います。こうしたことを決めて、徐々に細分化していく過程を「要件定義」と言います。

システム開発の場合、この要件定義は発注者側の責任で行われます。ベンダーは必要なお手伝いをするだけですので、もし要件が間違っていたら、それは原則として発注者側の責任となることに注意しておかなければなりません。要件定義は、「開発ベンダーにお任せ」というわけにはいかないのです。

さて、次のフェーズに移りましょう。

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