川又の決定機を演出した4本目のCKの狙いは、「あそこらへんでガチャガチャなるように」と中村俊は振り返る。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1第28節]FC東京 0-0 磐田/9月30日/味スタ
 
 磐田にとって最大のチャンスは、41分のCKだった。
 
 中村俊輔が狙いすまして左足を振り抜くと、ボールは飛び出したGKの手をかすめ、川又堅碁に届く。背番号20は正確なトラップから右足で狙ったが、これは惜しくもバーを叩いてネットを揺らせなかった。
 
 この日、すべて内巻きとなる計7本(前半4本、後半3本)のCKを蹴った中村俊は、とにかく“見る”ことを重要視する。
 
「パッと見ると、アダ(イウトン)がペナの外とかにいて、何やってるんだって(笑)。でも、そこから勢いをつけて来るからね。そういう動きは見るようにしている」
 
 川又の決定機を演出したのは、前半の4本目。ニア、ニア、ミドルと蹴り分けた後に、ややファーを狙ったボールだったが、特に順番をつけているわけではない。
 
「(中を)のぞいて、(高橋)祥平が来そうだな、とか。蹴る瞬間まで、ギリギリまで見る時もある。(森下)俊がストーンの前に入ってくる時もあるしね。いろんなものを見ている」
 
 もちろん、セットプレーのパターン練習はしているだろうけど、実際のゲーム状況や、個々の動きを見極めて、瞬時に球種やコースをセレクトする。しかも質の高いボールを蹴るだけに、相手からすれば予測しづらく、対応が難しくなるのは間違いない。
 
 興味深いのは、中村俊の次のような独特な視点だ。
 
「シーズンが終わるにつれて、アドレナリンが出てきて、面白い動きをする選手もいるから。そういうのも見逃さずに」
 
 今節のFC東京戦はゴールにつながらなかったが、今後も磐田のセットプレーは多くの見せ場を作ってくれそうだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)