イギリスの超高級車ブランドといえば、ロールス・ロイスを真っ先に思い浮かべますが、双璧をなすブランドがベントレーです。

自分でハンドルを握っていても長距離移動を快適にこなせるグランドツアラーである2ドアクーペの「コンチネンタルGT」を筆頭に、4ドアモデルの「フライングスパー」「ミュルザンヌ」、さらにSUVの「ベンテイガ」など、様々なモデルが販売されています。


しばしばロールス・ロイスと比較されるベントレー。確かに、2000万円を超える価格に加えて、スーパーカーのようにド派手なスタイルやサウンドで周囲に主張しない落ち着きは、両ブランドの特徴として挙げられます。

現在ではロールス・ロイスはBMW傘下であり、一方のベントレーはフォルクスワーゲン傘下と、それぞれ別々の道を歩んでいますが、元を辿ると二つのブランドは同じ道を歩んでいたことがあります。

ベントレーは1919年にウォルター・オーウェン・ベントレーによって創業され、1924年〜1930年にはル・マン24時間レースを5回制し、その高いパフォーマンスで富裕層を魅了していました。ところが、世界恐慌を背景に経営は難しくなり、1931年にロールス・ロイスに買収されました。

最初に手掛けたのは1933年に発売した「31⁄2リットル」。ロールス・ロイスが1929年に発売した「20/25HP」をベースに、シャシーを短くした結果、最高速度は20km/hを上回る148.4km/hを達成したといいます。

その後は、ロールス・ロイスのクルマをベースにスポーティなテイストを強調させたモデルをリリースするという手法で、「41⁄4リットル(1936年)」「マークV(1939年)」「マーク此1946年)」「Rタイプ(1952年)」「Sタイプ(1955年)」「Tシリーズ(1965年)」「コーニッシュ(1971年)」を相次いで発売。

しかし、1971年にロールス・ロイスは経営難に陥り国有化され、1973年にはベントレーも含めた自動車部門は重工業メーカーのヴィッカースへと売却されました。

こうして、新たな親の元で再出発を果たした両ブランド。そんな両者が大きく分かれ始めたのが、1980年に同時発売された「ベントレー・ミュルザンヌ」と、その兄弟車「ロールス・ロイス シルバースピリット」でした。

大柄なボディに6.7L V8エンジンを積む点は共通しているものの、フロントマスクで個性を演出。パルテノン神殿をモチーフとしたグリルを持つ「シルバースピリット」に対して、「ミュルザンヌ」は煌びやかなグリルを挟むように4つの円形のライトを配置するというデザインを採用。まさに、現在の両ブランドの象徴的なデザインが誕生した瞬間でした。

その後、1998年にベントレーはフォルクスワーゲンへ、2003年にロールス・ロイスはBMWへの売却が決定。

ベントレーは創業時から掲げていた走行性能の高さを強調したクルマの開発を進め、03年に「コンチネンタルGT」を発売。11年には2代目へフルモデルチェンジし、さらにFIA-GT3レギュレーションに準じた競技車「コンチネンタルGT3」を開発。

オイル循環形式をドライサンプ式に変更した4.0リッターV型8気筒ツインターボ(600ps)を搭載したほか、ベース車両から1000kgもの軽量化も行なわれており、ブランパン耐久シリーズでは参戦初年度でシリーズ2位を獲得し、スポーティなイメージを着実に磨き上げています。

なお、先日発表されたばかりの新型「コンチネンタルGT」では、搭載する6.0L W12気筒ツインターボは635psを発揮し、その最高速度は333km/hを達成するとのこと。すでにドライバーズカーとして頂点に君臨しているベントレーですが、その探求はまだまだ途中のようです。

(今 総一郎)

ドライバーズカーへの飽くなき探求【意外と知らないクルマメーカーの歴史・ベントレー編】(http://clicccar.com/2017/09/30/514287/)