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自由を謳歌する新星・あいみょん、毒と愛の混ざったパンチラインの本質


あいみょんが9月にリリースした1stアルバム『青春のエキサイトメント』が各方面で絶賛されている。心に訴えかける力強い歌声、過激な内容も含むエッジの効いた詞、キャッチーなメロディ、Sundayカミデ(ワンダフルボーイズ、天才バンド)やagehasprings所属の田中ユウスケらがプロデュースした多彩なサウンドアレンジなど、あいみょんの音楽的魅力はこの1枚に凝縮されていると言っても過言ではない。


今作は、「音楽の活動をさせてもらっている今がとても青春。一種の興奮状態にいる」という彼女が“青春の興奮”を詰め込んだ作品。様々なトピックのなかから、あいみょん最大の個性である“詞”について考えてみたい。


 


どの曲にも聴く者をハッとさせるパンチライン


自分の憧れてきたスターたちへの不変の敬愛と叱咤、自らを規制しない“自由”を歌った「憧れてきたんだ」、飛び降り自殺のニュースを目の当たりにした際の心境をリアルに描写した「生きていたんだよな」、あいみょんらしい男目線のラブソング「君はロックなんか聴かない」。あいみょんの放つ言葉は、タイトルからして強いメッセージ性とインパクトを持ち、その題材や発想力にも驚かされる。



そもそもインディーズ時代、「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」というセンセーショナルな曲で最初に話題となった。毒のある言葉で賛否両論を巻き起こすこともあるが、2016年秋のメジャーデビュー以降もストレートな表現を貫いており、そこに躊躇の色はない。


“頑張れなんて言うなよクソが 死に物狂いで生きてんだ”

“いつになったら私のことを嫌いになってくれるかな”

“まじで僕に愛される気あんの?”

“死んだ後に天才だったなんて 死んでも言われたくないもんな”



聴く者をハッとさせる強力なパンチラインが、あいみょんの曲には毎回ある。なぜこんな歌詞が思いつくのか問うてみたこともあるが「興奮しながら書いてるので、曲作ってるときの感情は基本的に覚えてない」と一蹴された。強いて言えば発想の源は映画や小説や絵本からだという。


9曲目「RING DING」の歌い出しに“ため息は酸素の無駄使いさ”とあるが、詞表現は言うなれば変換の仕方。「あなたが好き」や「元気ですか?」のような普遍的なメッセージをどういう言葉で表現するかで、様々なシンガーソングライターが名フレーズを生み出してきたんだとしみじみ思った。


先日、槇原敬之がラジオ番組で“最近いちばんお気に入りの曲”として「君はロックを聴かない」をかけ、あいみょん自身が感激するという出来事があったが、この曲と「もう恋なんてしない」に似たものを感じていた私も感激だった。



槇原敬之さんが最近1番お気に入りの曲に「君はロックを聴かない」をかけて下さりました。感激すぎます。最近よく槇原敬之さんの楽曲や歌詞について話してた事もあり、心拍数上がってます。嬉しい!
Who cares? | bayfm78
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- あいみょん (@aimyonGtter) September 24, 2017




 


底知れぬ総合的ポテンシャルとバイタリティ


また、歌詞とボーカルでピックアップされることの多い彼女だが、メロディメイキングの腕にもぜひ注目してほしい。量が多く強烈な言葉たちを、うまく収め、キャッチーに聴かせる術。それについて訊いてみると本人は「数少ない知ってるコードをただ弾いてるだけです」と無自覚だった。メロディラインは感性で作っているという。ここはおそらくルーツである、吉田拓郎や浜田省吾、尾崎豊といったフォークソングからの影響が自然と反映されているのだろう。


あいみょんの音楽は、詞、曲、アレンジ、ボーカルがいずれも高いクオリティでまとまっており、ダイナミックに聞こえながらも繊細なバランスで成り立っている。これは、メンヘラさもある音楽性に反して、あいみょん自身はとても冷静で客観性を持ったいわゆる“現代っ子”だからなせる技でもあると思う。そしてそこが、同世代からルーツのフォーク世代まで、幅広い人々に嫌味なく受け入れられている理由なのではないだろうか。


このありあまる魅力に加えて、アレンジの力に頼らないシンプルなギター弾き語りもライブで大好評、ストックは驚異の約200曲……という、底知れぬポテンシャルとバイタリティ。枠に収まりきらない自由な表現を謳歌する若きシンガーソングライター、あいみょんのこれからの快進撃に期待しよう。


TEXT BY 鳴田麻未



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【あいみょん チャンネル】