マタギ(猟師)になるには?気になる収入についても聞いてみた

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古くから東北地方でクマやシカ、イノシシなどの狩猟を生業としてきたマタギ(猟師)。近年では「狩りガール」なる言葉も誕生するなど、狩猟は身近な趣味の一つとして、じわじわと注目を集めている。しかしながら、「教えて!goo」に「猟師の生計の立て方」という質問が投稿されているように、実際に狩猟で生計が成り立つかどうかは疑問である。そこで、実際に獣害対策などを行う猟師団体に話を聞いてみた。

■猟師になるために必要な手続き

お話を伺ったのは猪鹿庁合同会社代表、安田大介さん。まず、猟師として狩猟をするためには、狩猟免許が必要となる。
 
「狩猟免許は罠猟免許、網猟免許、第1種銃猟免許(装薬銃)、第2種銃猟免許(空気銃)の4種類があり、自分がやりたい猟のスタイルによって、取得する免許を決めます」(安田さん)

狩猟に使用できる猟具は、網か罠、装薬銃、空気銃と定められているのだとか。免許の取得と合わせて、必要となる猟具と狩猟登録をしなくてはならない。

「猟銃を所持するためには銃刀法に基づき、講習会の受講や考査への合格等が必要になりますので、罠や網と比べ、少しハードルは高くなります。狩猟免許取得の費用は、都道府県や取得する免許や数によっても変わりますが、15000円くらいから。銃の所持許可の取得に係る手続きの費用としては、7万円くらいかかります。さらに道具などの費用として、銃関連は銃やガンロッカーなどを銃砲店などで揃えると、新銃だと20万円以上、中古の銃でも15万以上はかかると思われます。罠や網に関しては数千円くらいのものから購入できますが、自作する猟師も多いです」(安田さん)

初期費用の目安として、銃の場合だと30万円程度がかかる。罠や網の場合は数万円と、銃に比べると安く抑えられるようだ。

■どうやって仕事を探すの?

では、免許取得後、どのようにして猟師としての仕事を開始するのだろうか。

「法的には、狩猟登録をした都道府県であれば狩猟が可能です。猟友会に所属し、その中で猟を教えてもらえる先輩を地道に見つけるというコースが一般的です。『弟子入り』などの制度は公的な仕組みとしてはありません」(安田さん)

猟友会とは、狩猟者のための公益団体。各都道府県に猟友会があり、それらを統括するのが大日本猟友会。原則として、住んでいる地域の猟友会に所属し、そこで経験を積んでいくようだ。

■不足する猟師の存在意義とは

そして、気になる収入について。猟師として一人前になれば、生計を立てられるのか聞いてみた。

「猟師としての収入源は、捕獲した獲物から得られる『肉』や『皮』などを売ることと、有害捕獲として得られる駆除費が主なものとなりますが、そこから得られるお金のみで生計を立て得る収入を得ている猟師は、非常に稀で、とても難しいです」(安田さん)

なかなか厳しい現実だ。

「なお、お肉を売るためにも必要となる許可などがありますし、有害捕獲をする場合にも許可が必要です。いきなり猟師のみで生計を立てることは考えずに、狩猟で得られる収入は、副収入のうちの一つ、またはお小遣いという位置づけで、始めるのが現実的かと思われます」(安田さん)

こうした理由から、猟師の数は減少の一途を辿っている。しかしそれでも、猟師の存在は不可欠だという。

「地方では増えすぎたシカ、イノシシなどによる農林業・生態系被害などの『獣害』が社会問題になっています。猟師が山に入ることで、増えすぎたシカやイノシシ等が引き起こす様々な被害を抑制し、その生息数を適正に調整することにつながります。現在、猟師の世界も高齢化が急速に進んでおり、猟師がいなくなってしまえば、獣害はさらに拡大してしまうことにつながるでしょう。もっと猟師や狩猟が身近なものになり、今の獣害などの問題が少しでも減っていけば嬉しいです」(安田さん)

安田さんの所属する猪鹿庁のほか、各都道府県の猟友会でも初心者向けのイベントが開催されている。興味を持った人は、まずこうしたイベントに足を運んでみてはいかがだろうか。

●専門家プロフィール:安田 大介
猪鹿庁合同会社代表。「猪鹿庁」では狩猟を身近に感じ学ぶことができるツアー・イベントなどを実施。10/21〜23に岐阜県郡上市にて、狩猟サミットを開催予定。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)