iPhone 8は本当に地味? iPhone 7と比べたら着実な進化が見えてきた
2017年9月22日に発売となったiPhone 8。新たに独自開発のGPUを搭載した6コアのSoC「A11 Bionic」の搭載や、Qi規格に準拠したワイヤレス充電への対応が大きな特徴です。

しかしながら、前機種iPhone 7から外寸の変化が乏しいことや10周年記念モデルとなるiPhone Xの発売が11月に控えているためか、例年に比べて話題性に乏しい状況となっています。こうしたこともあり、一部では、「保守的だ」と言った意見もあるiPhone 8。昨年発売されたiPhone 7と比較してどのような進化があるのか、検証していきます。


一見、瓜二つの外観にもよく見ると細かな変化が




▲正面と側面の外観の変化はほとんどなし。ゴールド色の方がiPhone 8。

正面及び側面のデザインは、iPhone 6で採用したデザインを引き続き継承しており、柔らかい素材で作られた一部のケースではそのまま流用することも可能となっています。以前のモデルからそうでしたが、本体側面のSIMトレイの加工精度はなんど見ても素晴らしく、まるで本体に一体化しているような印象を受けます。


▲背面にはガラス素材を採用するも、指紋はつきやすい印象を受けた

▲上下のアンテナラインがなくなり、スッキリとした外観に

デザイン面で最も大きな変化を遂げたのが背面。iPhone 7ではアルミニウム素材を採用していましたが、iPhone 8ではガラス素材に変更されています。さらに、iPhone 7では上下にあったアンテナの樹脂素材がなくなり、よりスッキリした印象です。

冬場に困る金属製ボディ特有のひんやりとした触感も改善したため、使い心地は更に良くなったと言えます。しかしながら素材の特性上、指紋がつきやすくなっており、布地で軽く拭いた程度では写真の通り指紋の後が若干残ってしまいます。綺麗に保ちたい人は専用のマイクロファイバーなどを常備しておくと良いでしょう。

iPhone 7で話題となった「総務省指定」の文字が消えてスッキリした印象

iPhone 7の発売直後に話題となった「総務省指定」の表記。iPhone 8ではその表記がなくなっています。本来、背面を彩るのはロゴとブランドであるべきであって、総務省指定の文字はデザインを損ねる要因となってしまっていたわけです。嬉しいことにiPhone 8では「総務省指定」の文字がなくなり、本来の姿を取り戻しています。


▲外寸の変化は小さいものの、カメラ周りの質感が特に大きく変化している

最も大きい変化を加えられたのはカメラ周り。まず、先述した通り素材がアルミニウムからガラス素材へと変更されているため、カメラモジュールの横に配置されたマイクやフラッシュがツライチとなっているのです。細かい変化ではありますが、仮にケースをしたとしても露出する場所にあたります。その為、より美しくモジュールがまとめられたと言った印象を受ける外観となっています。

iPhone 8からは新たにQi規格準拠のおくだけ充電機能を搭載。

iPhone 8から、新たにQi規格に準拠した無接点充電を搭載したことによって、多くのQi対応のワイヤレスチャージャーでiPhone 8を充電できるようになりました。流石に、Lightningコネクタを用いた有線充電に比べると充電速度では劣るものの、一晩中に0%からフル充電できていたので、一般的な使い方には充分実用的な充電速度であると言えます。


iPhone 8からはApple Payに12枚のカードを登録することが可能に

人によっては嬉しい進化として、iPhone 8におけるApple Payへの登録可能枚数が最大12枚までになりました。iPhone 7では8枚までとなっていたので、4枚多くカードを登録することが可能となったわけです。Appleのヘルプページでは、iPhone 8や、同時に発売となったApple Watch Series3でも同様に12枚追加可能である旨の記載がなされています。

多くの人にとっては「12枚も何に使うのか?」と感じるところですが、実は多くのクレジットカードの発行会社ではApple Payを介した自社カードの利用促進を促すために様々なキャンペーンを行っています。筆者の使い方では、これらのキャンペーンの実施状況に応じてカードの入れ替えを行うのが手間であったため、対応枚数が増えたと言う意義は充分あるように感じます。

●動画撮影性能が飛躍的に向上


▲ 1080p HD画質での240fpsスローモーション撮影が可能になった


▲4K画質での60fps撮影にも新たに対応している

搭載されるSoCが「A11 Bionic」に変更されたことにより、動画撮影性能の向上も果たしています。最大240fpsでの撮影が可能な「スローモーション撮影」機能は新たに1080p画質での撮影に対応。また、今まで30fpsのみの撮影となっていた4K映像も、iPhone 8では60fpsでの撮影に対応しています。なお、4K/60fpsで撮影した際のファイル容量は約400MB/分と非常に大きくなるので取扱いには注意したいところです。


iPhone 8では「True Tone」を搭載し、より見やすくなった

iPhone 8では、周囲の環境光を踏まえて画面のホワイトバランスを調整する「True Tone」機能がiPhoneとしては初めて搭載。特に蛍光色の照明下では明らかに黄ばみがかった発色となり、よりリラックスして操作をすることが可能となりました。便利な機能である一方、色濃度を気にする方も多いかと思いますが、設定画面からTrue Tone機能をオフにすることもできるので安心です。


▲見た目は瓜二つでも着実な進化を遂げていた

こうして改めて表面を見てみるとiPhone 7と比べても、正しく瓜二つな外寸となったiPhone 8。確かに、iPhone 6sからiPhone 7への進化と比較してしまうとその進歩は地味なものばかりですが、スタンダートモデルとしての立場は十二分に担えるだろうと言った感想を受けました。

iPhoneに「革新性」を求めている方からすると、全く異なったコンセプトで成るiPhone Xの発売が約一ヶ月後に迫り楽しみにされていることでしょう。一方、多くのライトユーザーは最低構成であっても10万円を超えてしまう非常に高価な価格設定を求めるとも考えにくいため、初動はイマイチだったiPhone 8も中長期的にはきちんと売れていくものと考えられます。そして、iPhone 8のこれらの新機能もiPhone Xに引き続き搭載されることを考えると、どちらを選ぶべきか。うーん、非常に悩ましいものです。

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