バイエルン監督の座を追われたアンチェロッティ。起用法を巡り一部主力と対立関係にあったようだ。(C)Getty Images

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 カルロ・アンチェロッティのバイエルン監督解任は、選手たちの“造反”が理由のひとつだったようだ。ドイツの『スポーツ・ビルト』誌が報じている。
 
 現地時間9月27日にバイエルンは、2019年6月まで契約を残していたアンチェロッティの解任を発表。公式サイトではカール=ハインツ・ルンメニゲCEOが、「今シーズンのチームパフォーマンスは、我々の期待に応えるものではなかった。パリでの結果は、いま行動を取らなければならないことを明白に表したものだった」と成績と内容の不振を指揮官交代の決断理由に挙げた。
 
 たしかに今シーズンのバイエルンは、5連覇中のブンデスリーガで6節を終えて3位(4勝1分け1敗)、チャンピオンズ・リーグでは解任前日の2節にパリSGに0-3の完敗を喫していた。
 
 しかし、この成績不振の裏には指揮官と主力選手たちとの対立があった模様。スポーツ・ビルト誌によるとラジオ局『FFH』で、ウリ・ヘーネス会長がこう漏らしたという。
 
「私の知る限りアンチェロッティは、ここ数日で5人の主力選手を敵に回していた。ピッチに立たせなかったからだ。プレー機会が少なかったコマンもだね。指揮官は重要な選手たちと対立すべきではない。これ以上はもう無理だった」
 
 複数の現地メディアによると、その5人とはマッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテング、アリエン・ロッベン、フランク・リベリ、トーマス・ミュラーだという。パリSG戦では最初に挙げた4人がスタメン落ちし、腕章を巻いて先発したミュラーも2節のブレーメン戦後には「監督が何を求めているか分からない」と公然と批判を展開していた。
 
 現在58歳のアンチェロッティと言えば、ユベントス、ミラン、チェルシー、パリSG、レアル・マドリーというメガクラブで、幾多のタイトルを獲得してきた世界的名将だ。手駒や状況に応じた采配を振るい攻守を機能させる戦術的柔軟性はもちろん、一癖も二癖もあるスター選手たちをまとめ上げるその人心掌握術が高く評価されてきた。しかし、2016年から率いたバイエルンでは、チームをまとめきれず不満分子を生み、チームが崩壊してしまったようだ。
 その最大の理由として考えられるのが、“リーダーの不在”だ。昨シーズンまで主将だったフィリップ・ラーム、司令塔のシャビ・アロンソという2人のベテランが今夏に揃って引退。さらにキャプテンマークを引き継いだマヌエル・ノイアーも怪我を繰り返し、現在も左足の怪我で長期離脱中だ。
 
 仮に重鎮2人のうち1人でも現役を続け、ノイアーも健在であれば、主力5人のワガママをなだめすかし、内紛を避けられた可能性が少なからずあっただろう。
 
 つまり今シーズンのアンチェロッティには、ミラン時代のパオロ・マルディーニ、チェルシー時代のジョン・テリー、マドリー時代のセルヒオ・ラモスのような選手と監督の橋渡しをするような絶対的なリーダーが欠けていたのだ。
 
 誰もが尊敬するベテランの2人が一気に去り、その後釜としてリーダーシップ発揮が期待された守護神も戦線離脱……。そんな逆風の中では、さすがのアンチェロッティもアクの強い主力5人のエゴを制御できなかった。
 
 なお、バイエルンはアシスタントコーチだったウィリ・サニョール(元フランス代表DF)が、10月1日のヘルタ・ベルリン戦で暫定監督を務める予定。その後のAマッチウィーク中に後任を決めたいとし、トーマス・トゥヘル(前ドルトムント監督)やユリアン・ナーゲルスマン(現ホッフェンハイム監督)などが2大候補に挙がっている。

 しかし、あのアンチェロッティでさえも制御できなかった「リーダー不在のバイエルン」を、期待の若手戦術家とはいえ世界的メガクラブを率いた経験のない2人が、はたしてコントロールできるのか。不安が否めないと言わざるをえない。