北朝鮮が「先軍七景」の一つとして自慢する両江道(リャンガンド)の広大なジャガイモ畑。金正日総書記が、食糧問題の解決のために山を切り拓いて共同農場を作り、ジャガイモ栽培を奨励したところ、大成功を収めた。それ以来ジャガイモの名産地として名を馳せている。

去年までは豊作が続き、「処分に困る」と農民たちは嬉しい悲鳴を上げていたが、今年は状況が一変した。

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現地の情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、三池淵(サムジヨン)郡の胞胎(ポテ)協同農場では他の農場より一足先に今月5日から収穫が始まり、25日までに終えたが、1ヘクタールあたりの収穫量は20トンに留まった。これは、上部組織から課されたノルマの半分だ。

農民は、農場からは配給を一切もらえず、収穫量に応じて受け取ったジャガイモを市場で売るなどして生活を立てているため、このままでは餓死しかねい状況だ。

今年、日照りと大雨に苦しんだ北朝鮮の他の地方と異なり、この地方では降水量も日照時間も良好だった。そのため今年もまた豊作だろうと見られていたのだが、8月の末になって季節はずれの霜が降りて、地表近くにあったジャガイモが凍ってしまったのだ。

「畑の半分以上が霜にやられて、凍ったジャガイモを掘り出して涙を流す農民を見て、胸が詰まった」(情報筋)

別の情報筋も、今年の農業は完全にだめになったも同然だと嘆く。高山地帯にある大紅湍(テホンダン)、雲興(ウヌン)、白岩(ペガム)、普天(ポチョン)において、霜による被害が深刻だという。

ジャガイモは地中に埋まっているため、被害がある程度抑えられたが、農民が個人耕作地で育てていた大豆、トウモロコシ、そして一番儲かるトウガラシが全滅状態だという。

情報筋は、国が両江道に救いの手を差し伸べなければ、個人耕作地からの収入に頼って生きている人びとはお先真っ暗だと、当局に対策を求めた。一方、北朝鮮では、経済制裁によるガソリン価格の高騰が物価に反映され始めた。今年の冬は長く辛いものになりそうだ。

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