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●ルームエアコンは成熟市場、それでも業績拡大へ

「ルームエアコンの世帯普及率は92.7%に達する成熟市場。だがダイキンは、新たな空調文化を提案して2020年にルームエアコントップシェアを目指す」――。

ダイキン工業はルームエアコンの新製品として、高機能ルームエアコン「うるさら7」と、スタイリッシュエアコン「risora(リソラ)」、非居室向けエアコン「ココタス」の3製品を発表した。主力の「うるさら7」だけではないミッドレンジ製品のラインアップ強化と、新たな市場となる非居室向けエアコンを投入することになる。

ダイキン工業 常務執行役員 空調営業本部 本部長の舩田 聡氏は、「エアコンの設置場所を増やし、ルームエアコン市場全体を拡大する。過去最高となる1000機種のラインアップを揃え、トップシェア獲得に挑む」と、新ラインナップへの意気込みを語る。

1958年に「ウィンドクーラー」を発売したダイキンは、住宅空調事業に参入してから60年目の節目を来年迎える。エアコンは、今回発表した製品が2018年に向けた主力製品。つまり、60周年の節目がすでにスタートしているともいえ、ダイキンは節目において、トップシェアに向けて攻勢をかけることを宣言した格好だ。

国内ルームエアコン市場で先を行くパナソニックが、20%強のシェアであるのに対し、ダイキンのシェアは20%弱。数ポイントのシェア拡大で逆転できる射程距離の中にあると言ってもいい。舩田氏は、今回発表した製品に加えて、普及価格帯のルームエアコンや空気清浄機、除湿専用機の新製品も投入予定と語り、「日本の住宅空調をもう一度創造する」と強調する。

○うるさらとrisoraは基本性能アップ

今回発表した製品は、トップシェア獲得に向けた戦略的製品だ。ルームエアコンのフラッグシップとなる「うるさら7 Rシリーズ」は、2013年のうるさら7登場以来、今回の製品が6代目となる。

暖房運転開始時に人に風を当てない大風量の温風吹き出しと、圧縮機の性能をさらに引き出す新制御技術によって、従来モデル比較で設定温度への到達時間を20%短縮した「ヒートブースト」制御や、冷房運転時にも同様に圧縮機を制御することで除湿量を増加させ、快適な湿度への到達時間を40%短縮する「クールブースト」制御を実装した。

また、通常の暖房運転より運転開始時の冷媒温度を早く高める「低温ブースト」制御によって、マイナス10℃の低外気温時でも、エアコンの運転を開始してから温風が吹き出すまでの時間を従来比で45%も短縮している。

基本機能を強化した今回の新製品は、まさに、ルームエアコンとしての正常進化を遂げたといえる。

一方で「risora」は、デザイン性と機能性の両立にこだわり、空気と空間で心地よさを提供するミッドレンジのルームエアコンと位置づけている。「理想の空間の一部になり、心地よさを届ける」というコンセプトから、理想、空という言葉を盛り込んで「risora」のブランド名をつけた。

インテリアに馴染む形状や素材の質感など、デザイン性を追求したほか、室内機は業界最薄となる奥行き185mmを実現し、前面パネルは自動車の内装部品などにも使用されている5層の表面加飾技術を施した。木目やツヤ、織目などの多彩な質感によって、多様化するインテリアのニーズに対応しており、7種類(大手家電量販店では2種類)のバリエーションを用意し、それをベースに100機種をラインアップした。

また、冷房時の「天井気流」と暖房時の「垂直気流」といった独自の気流制御や冷房除湿制御技術、「人・床センサー」による暖房時の室内温度ムラの解消など、最新技術によって空気の心地よさを実現するという。発売は2018年3月30日で、2018年度中に5万台の出荷を目指す。

さらに、既存製品セグメントだけでなく、新セグメントの製品「ココタス」も用意。これは、洗面所やキッチン、廊下といった非居室の小空間にも設置できる業界最小サイズの小空間マルチカセット形エアコンで、冷房能力0.8kW、暖房能力1.0kWで、2畳〜3畳の空間に合わせた能力を持つ。

●一家にエアコン3台、常識を覆すための「ココタス」

ダイキン独自のインバーター制御と低回転で効率のいいスイング圧縮機を組み合わせたほか、低流量での冷媒コントロールが可能な新規電動弁の採用により、最低能力200Wを実現。設定温度到達後も、きめ細やかな運転で快適な温度にコントロールする。

キッチンや洗面所、廊下などは暑さや寒さを感じやすい空間で、高齢者が冬場の入浴後に寒い洗面所に出て急激に体温が下がり、ヒートショックで倒れるといった住宅内の温度差による問題が生じている。ダイキンはこの問題を解決できる製品と位置付けており、2018年2月27日に発売、2018年度に1万台の出荷を目指す。

○2017年は堅調、60周年で飛躍なるか

ダイキンのトップシェア獲得に向けた取り組みは、飽和した成熟市場で他社のシェアを奪うのではなく、新たな市場を創出して存在感を発揮するのが基本戦略だ。

「うるさら7は安定的な売れ行きが見込める市場に向けた製品。その一方、ミッドレンジの市場が拡大するなかで、risoraは、他社がやっていない領域の製品であり、ここでボリュームを狙っていく。そして、ココタスは、家のなかに快適空間を広げる新たな製品であり、新築でのニーズを中心に工務店などを巻き込んだビジネスになる」(舩田氏)

エアコン市場は気候による変動要因が大きく、2017年は猛暑の影響で好調な出足を見せたもの、首都圏では8月の長期間の降雨により失速した。それでも前年を上回る実績で推移しており、ダイキン自身も業界全体を上回る業績を記録しているという。

今回の新たな製品群は、ミッドレンジ市場における新たな市場創造という点で、シェア拡大にプラスαになる戦略的製品になる。そこにココタスが加わることで、需要変動の影響を大きく受けない、新市場開拓による+αが見込めることになる。

「今や、平均で一家に3.07台のエアコンが設置されているが、あらゆる空間を快適にする提案によって、さらにエアコンの設置台数を増やすことができると考えている」(舩田氏)

ダイキンの成熟市場における新たな提案は、市場拡大とシェア拡大を加速する提案になりそうだ。