「口コミ」というよりは”告発”に近い(写真:AFLO)

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 病院の実態はそこで働く看護師が一番知っている。そんな看護師たちが勤務先の病院を口コミで査定する『ナスコミ』というインターネットサイトがある。

 2014年開設の『ナスコミ』に登場する病院は約10万件。もともと看護師が就職、転職する際に情報を交換、共有するために始まった会員制の投稿サイトで、全国の現役看護師たちが勤務経験のある病院をコメントと共に「5つ星」で評価する。会員登録は現役看護師に限られるが、会員でなくても口コミの一部を閲覧できる(最初の60文字まで)。

 勤務先への評価は総じて厳しい。例えば、1000もの病床を誇る都内の大学病院Aは星3つで、300件以上の投稿がある。

〈ボーナスがしっかり6.2か月分出るのが嬉しい〉といった好評価もあるが、〈圧倒的な人員不足と過剰な手術件数で、手術室はキャパオーバー〉などの酷評が星を減らしている。現役の看護師が言う。

「一般の求人情報では分からない現場の実態がシビアに書いてあり、参考になります。また教育がしっかりしている、サービス残業が多いなど、転職希望者が“知りたい情報”があるのです」

 そうした看護師の勤務実態は、通院、入院する患者のケアにも影響を及ぼすともいえる。『ナスコミ』での評価は病院や医師選びの参考になり得る。東京の下町にある救急総合病院Bは星2.5。そこにはこんな“告発”が記されていた。

〈オムツ交換時のお尻拭きはオシボリを使用。それを洗って使い回しています。その結果、病気の感染が広がり大変なことになりました。それでもオシボリを使い続けていて、毎日下痢の対応をしています〉

 先の現役看護師によれば、「数十年前ならともかく、近年は感染症対策から、使い捨てペーパーを使うところが増えています。おしぼりを使う場合でも、厳重に消毒します」というから、事実ならBの衛生面は杜撰だ。

 やはり星2.5の千葉県の大規模病院Cには、さらに怖い口コミがあった。

〈心電図、脈波などのモニタに出る危険な波形を読めない看護師が多く、アラームが鳴っても消すだけ。そもそもナースコールは取らないようにしている〉

〈患者誤認等で起こったインシデント(医療事故が起こり得た事態)を報告していない場合もある〉

 つまり患者を取り違えて治療したが、異変がなかったからそのままにしている──というのだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が言う。

「このサイトの良さは、病院で働く人の連携を知ることができる点です。チームワークが良ければ、医療や看護の質も上がります。ただ、口コミサイトは95%が閲覧者で、書く人は5%と言われていますから、これがその病院の全てとは思わないほうが良いでしょう」

 看護師の愚痴と本気の警告を見極める必要がある。

※週刊ポスト2017年10月6日号