「Thinkstock」より

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 今年も秋の全国交通安全運動がスタートした。中央交通安全対策会議・交通対策本部決定の「平成29年秋の全国交通安全運動推進要綱」によると、運動期間は9月21日から30日までの10日間。毎年この時期に行われているため、街でポスターを見かけて秋のおとずれ感じた人もいるのではないだろうか。

 全国交通安全運動は毎年、春と秋の年2回実施されているが、そもそも交通安全は誰もが季節・日時を問わず、常に心がけるべきものだ。しかし現状として、日々多くの交通事故が起きている。そこで、より交通安全の意識を高め、交通事故防止に努めようというのが全国交通安全運動の趣旨だろう。

 ただひとつ、疑問に思う。毎年、なぜこの時期に行っているのだろうか。内閣府・交通安全啓発担当に話を聞いた。

「全国交通安全運動の期間は中央交通安全対策会議において、基本的に春は4月6日から、秋は9月21日から、それぞれ10日間と決めています。秋に実施する理由として考えられるのは、秋になると日暮れが早くなり、事故が起こりやすくなるということと、年末に向けて交通事故が多発するということでしょう。

『平成29年秋の全国交通安全運動推進要綱』では、運動の全国重点(2)を『夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止』と定め、その趣旨について『秋口における日没時間の急激な早まりとともに、例年、夕暮れ時や夜間には、重大事故につながるおそれのある交通事故が多発し、歩行中・自転車乗車中の死亡事故が増加すること』と説明しています」(担当者)

 この趣旨説明の内容は、実際のデータからもうかがえる。警視庁が公開している「東京都内の交通人身事故発生状況」の時間帯別発生状況(平成28年中)を見てみると、もっとも発生件数が多い時間帯は8〜10時で4506件。夕暮れ時にあたる16〜18時の時間帯は4465件と2番目に多い。そして負傷者数に関しては、8〜10時が5097人、16〜18時は5241人で、朝の負傷者数を上回っている。

 秋口は日没時間がどんどん早くなる。しかも、「秋の日はつるべ落とし」といわれるように、あっという間に日が落ちて暗くなってしまう。そのため、車両のライト点灯や歩行者の反射材使用など、夜間通行のための準備も遅れがちだ。暗さで視界が悪くなることに加え、こういった夜間通行の準備不足が重なれば、事故の多発につながる。夕暮れが早まる秋口は、確かに事故のリスクが高い時期なのだ。

 平成29年秋の全国交通安全運動のポスターには、「命を守る 早めのライトと反射材」と大きく書かれている。いつまでも夏場と同じ感覚でいては、ライト・反射材の使用が遅れてしまうかもしれない。このタイミングで呼びかけが行われる意味をあらためて考え、夕暮れ時・夜間は特に安全な通行に努めたい。

●春の交通安全運動との違い

 また、春に実施される理由についても聞いてみた。

「平成29年春の全国交通安全運動は、『子供と高齢者の交通事故防止〜事故にあわない、おこさない〜』を運動の基本として、4月6日から15日まで実施されました。新入学生の通学開始に合わせて運動を実施し、子ども、そして保護者をはじめとする周囲の大人の交通安全意識を高めたいということが理由のひとつだと考えられます」(同)

 春と秋では、実施期間だけでなく、運動の重点にも異なる部分がある。この違いに気づいていなかった人もいるのではないだろうか。全国交通安全運動では、季節や交通事故の実態に合わせた呼びかけが行われている。「また今年も始まったな」で済ませるのではなく、すべての人が呼応して意識を高めてこそ、本当に意味のある運動となるだろう。

 内閣府によると「記録の残る昭和43年以降、毎日、交通死亡事故が発生している」という。そんななか、春と秋、それぞれの全国交通安全運動期間中のゼロのつく日を、「交通事故死ゼロを目指す日」とすることが平成20年に決定された。

 今秋の「交通事故死ゼロを目指す日」は9月30日。一人ひとりが交通安全への意識を高め、注意して行動することができれば、実現も不可能ではないはずだ。そんな日が1日でも早く、そして1日でも多く訪れることを願う。
(文=OFFICE-SANGA)

平成29年秋の全国交通安全運動推進要綱:
http://www8.cao.go.jp/koutu/keihatsu/undou/h29_aki/youkou.html